カートリッジの構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 23:08 UTC 版)
媒体は幅6.35mm(1/4インチ)の磁気テープの始端と終端をつないだエンドレス式テープである。テープは1個のリールに巻かれ、リール最内周から引き出されたテープが、カートリッジケースの再生用の窓部分を経てリール最外周に巻き取られる構造になっている。リールはテープの引き出しによって受動的に回転し、カートリッジ外部からは直接駆動されない。テープ速度は毎秒9.5cm(3.75インチ)に設定されている。その構造上、テープとリールの逆回転は不可能であり、また、早送り・巻き戻しも不可能である。 ミュージックテープとして市販されていた初期のカートリッジには、持ち運ぶ際、VHSビデオカセットなどと同じく振動で弛まないように、リールハブロック機構があった。この機構はプレーヤーに差し込むと解除される仕組みである。1980年代に入ると、市場ではカラオケテープしか販売されなくなったので、頻繁に持ち運ぶ理由が無くなったためか、ハブロック機構は消滅した。 構造上早送りによる曲の頭出しが出来ないため、トラックを切り替えることで楽曲プログラムを選択する。4つのプログラムが1本のテープに平行して録音されている。カーステレオ用8トラックデッキの場合、再生ヘッドは2トラックのみであるが、テープをつなぐアルミ箔製のセンシングテープを検出して、再生ヘッドを自動的にテープ幅方向に移動する機構により、全トラックを連続的に再生する。 欠点として、エンドレス構造とテープを介したリール駆動が理由で、テープには恒常的に無理な負荷がかかりがちになり、切断が発生しやすい点があげられる。補修する場合でも、カートリッジ開封後にテープをリールへ正しくセットすることが難しいため、レコード会社などが8トラックテープを補修する業務を請け負っていた時期もあった。 4トラックやその元となったフィデリパックと異なり、カートリッジ内にピンチローラーを内蔵している。このローラー表面にある合成ゴムが経時的に劣化しやすく、テープに癒着しがちである。そのため現存するテープも、経年したものは再生不能に陥っている場合が多い。
※この「カートリッジの構造」の解説は、「8トラック」の解説の一部です。
「カートリッジの構造」を含む「8トラック」の記事については、「8トラック」の概要を参照ください。
- カートリッジの構造のページへのリンク