オヤリハグマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2021/01/29 22:22 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動| オヤリハグマ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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福島県中通り地方 2013年9月
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| 分類（APG III） | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| Pertya trilobata (Makino) Makino[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| オヤリハグマ（御槍白熊）[3] |
オヤリハグマ（御槍白熊、学名：Pertya trilobata[1] ）は、キク科コウヤボウキ属の多年草[3][4][5]。
特徴
根はひげ状になり多い。茎は直立し、高さは45-85cmになり、細く硬い。茎の上部で円錐花序に分枝し、枝には短毛が散生する。根出葉や茎の下部の葉は小さく、鱗片状になり、中部の葉は互生し、長い葉柄があり、葉身はやや硬く、長さ10-13cm、幅7-13cm、先は3浅-中裂し、裂片は先が鋭い長楕円形になり、縁に浅くまばらな歯牙がある。葉は茎の上部にいくに従って徐々に小さくなり、葉柄もなくなる。葉の表面は緑色で無毛、裏面は網脈があり葉脈上と縁に縮れた短毛がある[3][4][5]。
花期は9-10月。頭状花序は円錐状に多数つき、花柄は無いかあっても短い。総苞は長さ14-17mmになる狭い円柱形、総苞片は7列で、覆瓦状に並び、最外片は長さ1mmの広卵形になり、先は鈍頭。頭花は1個の筒状花のみからなり、花冠は白色で、5裂し、裂片は線形で長さ10-11mmになる。果実は長さ8.5-9mmになる円柱形の痩果で、上端に多数の冠毛がある[3][4][5]。
分布と生育環境
日本固有種[6]。本州の東北地方中南部から関東地方東北部に分布し、山地の林内に生育する[1]。
名前の由来
オヤリハグマは、「御槍白熊」のことで、「御槍（おやり）」は、葉が3裂した裂片の先の鋭いようすを、槍先に見立てたもの[5]。また、「白熊（はぐま）」とは、ヤクの尾の毛でつくった飾りをいい、兜、槍の白い飾りや僧が使う払子に使われた。花冠の細長い裂片のようすを白熊（はぐま）に見立てた[7]。
学名の訂正
従来、学名は Pertya triloba (Makino) Makino[8]とされてきたが、国際藻類・菌類・植物命名規約の規定により、もっとも早く正式に発表された Macroclinidium trilobatum Makino に 基 づ く Pertya trilobata (Makino) Makino が正名であると、2016年に報告された[1][9]。
下位分類等
- センダイハグマ Pertya × koribana (Nakai) Makino et Nemoto[10] - オヤリハグマとカシワバハグマの自然交雑種で、宮城県仙台市で発見され、東北地方南部に分布するとされた[5]が、2016年までの研究結果により、オヤリハグマの無裂葉タイプと考えられると発表された[1][9]。
ギャラリー
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中部の葉の先は3裂し、槍先を思わせる。
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白い花冠裂片は線形で細長い。
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頭花は1個の筒状花のみからなる。
脚注
- ^ a b c d e 『改訂新版 日本の野生植物 5』p.214
- ^ オヤリハグマ 「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
- ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』pp.540-541
- ^ a b c 『日本の野生植物草本III合弁花類p.209
- ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.736, p.1351
- ^ 『日本の固有植物』p.143
- ^ 『山溪名前図鑑 野草の名前 秋・冬』p.95
- ^ オヤリハグマ 「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
- ^ a b 大井・東馬哲雄、邑田仁：日本固有種オヤリハグマ（キク科）の正名, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』Vol.91, No.2, pp.79-83, (2016).
- ^ センダイハグマ 「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
参考文献
- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III合弁花類』、1981年、平凡社
- 高橋勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 秋・冬』、2003年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』、2013年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
- The Journal of Japanese Botany, 植物研究雑誌
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