オフィス系アプリケーション市場への進出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/21 05:01 UTC 版)
「ボーランド」の記事における「オフィス系アプリケーション市場への進出」の解説
1990年代初頭、ボーランドは個人向けデータベース市場をめぐって、マイクロソフトと激しく争った。1987年9月に、Ansa-Software社のデータベース管理ソフト「Paradox」(バージョン2.0)を会社ごと買収し、さらにデファクト・スタンダードであるdBASEを取得し優勢と思われたボーランドであったが、マイクロソフトもMicrosoft Accessを開発、さらにdBASEのクローンであるFoxProを取得し反撃。dBASEの巨額の買収費用もたたり、戦いはボーランドの敗北に終わった。1996年10月に「Paradox」はカナダのコーレル社へ売却。1999年には「dBASE」までもがソフトウェア開発ツールに専念するために売りに出された。 表計算ソフトにおける戦いも、ボーランドの敗北に終わった。1989年に送り出された表計算ソフト「Quattro Pro」は、マウスの右クリックによるコンテキストメニュー、タブページ切り替えによる複数ドキュメントの同時編集、ドラッグアンドドロップによるデータ移動などを最初に実装したWindowsアプリケーションであり、また当時としては非常に優れた図表作成能力も備え、表計算アプリケーションとしての完成度は極めて高く、洗練されていた。 しかしながら、現在のGUIソフトウェアには必須ともいえるそれらの機能も、当時のパーソナルコンピュータユーザにはその利便性がなかなか理解されなかった。逆にそれらを非常に高く評価したのはロータスやマイクロソフトなどのライバルベンダーたちだった。 1-2-3やExcelなどの強力なライバルが既に存在している市場の中で、既存の表計算ソフトのユーザの中で新規参入のQuattro Proの知名度が思ったように上がらなかった。そして、それらの画期的な機能が他のライバル製品に次々に模倣されて一般的になっていく中、Quattro Proは優れたユーザビリティというアドバンテージを失っていった。最終的に1994年「Quattro Pro」はNovellに売却され、その後、創始者のフィリップ・カーンもボーランドを去った。
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