オピオイド危機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/07 14:15 UTC 版)
オピオイド危機(オピオイドきき、Opioid epidemic または Opioid crisis)は、アメリカ合衆国を中心に発生した深刻な健康危機。この危機の背景に鎮痛剤や麻酔薬として使われるオピオイドの乱用が原因。これらの薬物は元々、慢性的な疼痛や手術後の痛みを和らげるために使用されていた。しかし過剰摂取や不適切な使用により依存症や過量摂取が増加し、多くの人々が命を落とす事態となっている。
概略
アメリカ合衆国で1990年代から2000年代初頭にかけて医師がオピオイドを頻繁に処方するようになったことや、薬物の入手が比較的容易であった。その結果、オピオイドによる過剰摂取や依存症が急増し、アメリカ国内では60万人以上がオピオイド関連の過剰摂取によって亡くなった[1]。
- 初期(1990年代〜):主に処方薬(オキシコドン、ヒドロコドンなど)の乱用が問題に。
- 第2波(2010年頃〜):処方薬が手に入らなくなった人々がヘロインなどの違法薬物へ移行。
- 第3波(2015年頃〜):フェンタニルなどの合成オピオイド主因に。これは非常に強力で、微量で致死量に達することがあり、過剰摂取死の多くを占めている。
- 2020年頃~ :コロナ禍により、精神的苦痛から摂取者が増加したことと、治療・カウンセリングに壁が生じたことも相まり、2021年には死者数は年間10万人を超える水準に達したとされる[2]。
関連項目
- LAZARUS ラザロ - MAPPAによるテレビアニメ。オピオイド危機をモデルとしている。[3]
映画 「CRISIS」(クライシス) --オビオイド危機を扱うサスペンス・スリラー映画
脚注
- ^ “Understanding the Opioid Overdose Epidemic”. Centers for Disease Control and Prevention. (2023年8月8日)
- ^ “Opioid Deaths Could Hit 165,000 Annually Without Intervention, Biden Official Warns”. Forbes. (2023年6月7日)
- ^ Pulliam-Moore, Charles (2024年10月30日). “Shinichirō Watanabe is ready to tell humanity something about itself with Lazarus”. The Verge. 2024年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月19日閲覧。
オピオイド危機
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「オキシコドン#訴訟」も参照 2017年10月には、アメリカで処方されたオピオイドに端を発する過剰摂取死のうなぎ上りによって、トランプ大統領は公衆衛生の非常事態を宣言した。10月中旬には、トランプ大統領が麻薬問題担当長官に指名した共和党のトム・マリーノが、オピオイドの取り締まり弱体化させる法案を進めていたことで指名辞退となり、オピオイドを蔓延させた製薬会社への捜査の声も高まった。およそ1週間後には、オピオイドのフェンタニルを過剰に売り込んだ、インシス・セラピューティクス社の最高経営責任者(CEO)らが逮捕され、医師や薬剤師にリベートや賄賂を渡して売り込んでおり、FBIの捜査官はオピオイドをがんでもない患者に売りつけるのは密売人と変わらないと非難した。また中国で密造された、ほとんどがフェンタニル誘導体である合成オピオイドも新たな脅威となってきた。
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