オズボーン社の実態
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「オズボーン効果」の記事における「オズボーン社の実態」の解説
2005年に発表されたアップルコンピュータのインテル製プロセッサ移行(後述)をめぐってオズボーン効果に関する議論が再燃した後に、コラムニストのロバート・クリンジリーはオズボーン社の元従業員であるマイク・マッカーシーにインタビューを行って「オズボーン効果」の裏事情を明らかにしている。 オズボーンのエグゼクティブ用モデルは2,195ドルの価格設定で7インチ (179mm) のディスプレイを内蔵していたのに対し、競合企業のケイプロ社が販売していたKaypro IIはそれより400ドル以上安価で9インチ(229mm) のディスプレイを持っていた。Kaypro IIは既に、5インチ(127mm)のディスプレイを持ち1,995ドルだったOsborne 1の売上を浸食し始めていたが、この当時Osborne 1の在庫は尽きており、結果的にほとんどの顧客がKaypro IIに流出したという。 またThe Register誌は、2005年6月20日のオズボーン社の回顧記事で同社の修理要員だったチャールズ・エイチャーにインタビューし、「企業決定のまずさがオズボーン社の破滅を招いた」という話を引き出している。彼によれば、後継機種の発表後にOsborne 1の販売が一時的に落ち込んだように見えたのは確かだが、最終的には売上は元に戻りキャッシュフローも回復していた。その後になって副社長のひとりが完全に実装を終えた旧製品用マザーボード(150,000ドル相当)が在庫に残っていることを発見した。この在庫を活用しようとしたオズボーン社は、少なからぬ時間の浪費と幾多の判断ミスの果てにCRT・RAM・フロッピーディスクの調達、ケースの再成型などに最終的に2百万ドルもの資金を投入してしまった。この負債が最終的にオズボーン社の債務過剰による操業停止を招いた。 コンピュータ産業界ではプレアナウンス(事前発表)効果をめぐる神話が長年に渡って広く信じられてきたが、その実例として挙げられる「オズボーン社のコンピュータをめぐる逸話」は実はほぼ都市伝説に近いものだと言える。
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