エビのトロール漁における混獲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 07:31 UTC 版)
「混獲」の記事における「エビのトロール漁における混獲」の解説
混獲率が最も高い漁業は、エビのトロール漁である。1997年には国際連合食糧農業機関(FAO)がエビ漁における混獲率を概算したが、それによれば、エビ漁における混獲量は、本来の対象であるエビの漁獲量の、最大で20倍、また世界平均で5.7倍にも達する。また、別の調査でもアメリカにおいてのこの方法による混獲量は、エビの漁獲量の3倍から15倍であることが分かっている。 エビのトロール漁での漁獲量が、世界の海産物の漁獲量に占める割合は、重量で2%程度である。しかし混獲量では、世界中に様々な漁業がある中で、その三分の一をも占める。 エビ漁で使われるようなトロール網は、魚類や海洋哺乳類の大量死の原因となる。トロール網にかかったそれらの種が海に帰される際には、個体は既に死んでいることが多く、生きていたとしても体力を消耗していたり、住んでいた深度に戻れなかったりして、間もなく死んでしまうことが多いのである。 南大西洋におけるエビの一種(Rock shrimp)のトロール漁に関して行われた調査では、魚類166種、クジラ目の37種、そして他の無脊椎動物37種が混獲されていた。同じ漁について行われた別の調査では、2年にわたって捕獲された生物の種を記録したが、本来の漁獲対象であるRock shrimpは捕獲生物のうち重量にして10%を占めるのみであった。残りの90%は、ガザミ属(英語版)のPortunus gibbesiiやPortunus spinicarpus、ダスキー・フラウンダー(ヒラメ科の魚。学名:Syacium papillosum)、キツネアカエソ(英語版)、スポットシュリンプ(英語版)(タラバエビ属の一種)、ヨーロッパエビジャコなどで構成されていた。 混獲によるものにも関わらず、メキシコ湾でのエビ漁では、レッドスナッパー(英語版)を対象にしている漁業で水揚げされているのに匹敵するほどの尾数のレッドスナッパーを、毎年漁獲している。
※この「エビのトロール漁における混獲」の解説は、「混獲」の解説の一部です。
「エビのトロール漁における混獲」を含む「混獲」の記事については、「混獲」の概要を参照ください。
- エビのトロール漁における混獲のページへのリンク