エネルギー源および炭素源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 08:32 UTC 版)
「栄養的分類」の記事における「エネルギー源および炭素源」の解説
エネルギー源と炭素源を用いる栄養的分類は最も良く用いられている栄養的分類法である。その有用性は極めて厳密に生物を分類できる点にある。エネルギー源による分類法は以下の二つに分かれる。 光合成生物:光をエネルギー源として利用できる(光リン酸化を行なえる) 化学合成生物:エネルギー源として化学エネルギーに依存する(酸化的リン酸化を行なう) 光合成生物の代表例としては植物、化学合成生物の例としては動物があげられる。この両者は特に明確な区別が可能だが光合成生物の藻類の中には、暗所で化学合成生物として生育できるものが知られている。 炭素源による分類法は以下の分類がなされる。 独立栄養:炭素源として二酸化炭素(CO2)を利用できる 従属栄養:炭素源を有機物に依存する 混合栄養:独立栄養および従属栄養の混在したもの 炭素源による分類も明確な区別が可能だが、混合栄養は二酸化炭素と有機物の両方を炭素源とするという特異な分類もなされる。ただし、二酸化炭素か有機物か、どちらに多く依存するか、によっては両者利用できる生物(最近、同位体を用いた研究によってカイコが混合栄養であることが明らかになった)であっても、独立あるいは従属の分類がなされることもある。 上記の分類群を組み合わせることによって、以下4種の有用な栄養的分類法が確立される。 光合成独立栄養生物:光をエネルギー源として利用し、炭酸固定を行なう。多くの植物、藻類、藍藻、光合成細菌等が含まれる。 光合成従属栄養生物:光をエネルギー源として利用し、有機物を炭素源として利用する(炭酸固定できない)。一部の光合成細菌(紅色非硫黄細菌など)が含まれる。 化学合成独立栄養生物:還元型無機化合物の酸化によってエネルギーを獲得し、炭酸固定を行なう。一部の細菌(硝化細菌、硫黄酸化細菌、鉄細菌、水素細菌等、ただし鉄細菌は独立栄養ではないと見る向きもある)が含まれる。 化学合成従属栄養生物:前述の3つはエネルギー源および炭素源の区別は明確だが、この生物ではそうした点が不明確である。すなわち、有機物の酸化を行ないながらエネルギーを得て、その炭素をそのまま炭素源として利用する。多くの動物、微生物が含まれる。 光合成従属栄養生物や化学合成独立栄養生物は多くの場合、化学合成従属栄養的に生育することが可能であるが、その場合、そのもっとも単純な栄養要求性がこれらの分類基準となる。すなわち、二酸化炭素を利用できることは有機物に炭素を依存するよりも単純であり、光エネルギーは化学エネルギーよりも単純であると考える。
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