エア・シーバトル
英語:AirSea Battle
米国が対中軍事戦略として掲げる、空軍および海軍の軍事力増強、および、両軍の連携・共同作戦。
産経新聞などが伝えるところによると、2011年半ばに米国国防長官の交代人事が発表されて以降、米国では軍事力を増強させつつある中国を意識し、エア・シーバトルを新たな基本戦略に据えているという。
なお、エア・シーバトルと同様、陸・空の共同軍事戦略構想は「エア・ランドバトル」と呼ばれる。
ちなみに、田中直紀・防衛大臣は、2012年2月の衆院予算委員会の答弁においてエア・シーバトルの戦略目標について質問され、よく把握していないと述べている。
関連サイト:
The Air-Sea Battle concept summary - アメリカ海軍ウェブサイト(英語)
米が対中新部局「エア・シーバトル」空・海戦闘一体…高官「南シナ海脅威座視しない」 - 産経新聞 2011年11月11日
「懸念が現実に」防衛相炎上 自民・小池氏「絶句…イロハのイだ」 - 産経新聞 2012年2月2日
エアシー‐バトル【Air-Sea Battle】
エアシー・バトル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/18 08:13 UTC 版)
エアシー・バトル(英語: AirSea Battle, ASB)は、アメリカ海・空軍が共同で策定した軍事コンセプト[1]。2015年以降は、「国際公共財におけるアクセスと機動のための統合構想」(Joint Concept for Access and Maneuver in the Global Commons, JAM-GC)と改称された[2]。
概要
イランの軍事的能力の強化や米中間における軍事的衝突の潜在的可能性を踏まえて、西太平洋とペルシャ湾において仮想敵国の接近阻止・領域拒否(A2/AD)に対抗する必要が認識されるようになった[1]。陸軍がアフガニスタン紛争・イラク戦争に集中せざるを得ない状況の下、2009年に海・空軍が共同で研究に着手したのが本コンセプトであった[3]。
2010年の4年毎の国防見直し(QDR)において、対中戦略の一環としてA2/ADに対抗するための作戦コンセプトとして統合ASB構想(Joint Air-Sea Battle Concept, JASBC)が提唱された[3][4]。また2012年1月には、ASBを下位構想として包摂する形で統合作戦アクセス構想(Joint Operational Access Concept, JOAC)が公表された[5]。ただし戦力投射後の敵撃破は被投射戦力(軍種)の命題とされて、陸軍による検討が待たれていた[3]。これに応じて、2014年より、陸軍のキャプストーン・ドクトリンである多領域作戦(MDO)に組み込むための検討が開始された[3]。
2015年には、ASBの名称は「国際公共財におけるアクセスと機動のための統合構想」(Joint Concept for Access and Maneuver in the Global Commons, JAM-GC)に変更された[2]。
脚注
出典
参考文献
- 菅野隆「マルチドメイン・オペレーションに至った背景 第5回~第7回」『修親』、修親刊行事務局、2021年7月。NCID AA11755486 。
- 木内啓人「統合エア・シー・バトル構想の背景と目的-今、なぜ統合エア・シー・バトル構想なのか」『海幹校戦略研究』第1第2、海上自衛隊幹部学校、2011年12月。 NAID 40019294687 。
- 森陸晃; 西田喜一「進化する米国の対中軍事戦略とシーパワー」『海幹校戦略研究』第10第1、海上自衛隊幹部学校、59-84頁、2020年7月。 NAID 40022318052 。
- 八木直人「エアシー・バトルの背景」『海幹校戦略研究』第1第1、海上自衛隊幹部学校、2011年5月。 NAID 40019256450 。
- 山下要「制海をめぐる米海軍及び米海兵隊の動向とアジア太平洋の海洋安全保障」『防衛研究所紀要』第19第2、防衛研究所、2017年3月。 NAID 40021218483 。
関連項目
- エア・シーバトルのページへのリンク