ウガリットの文学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/14 05:04 UTC 版)
ウガリットから発見された粘土板文書には物語詩の形式で書かれた神話が多く含まれている。これらの詩を記した粘土板の破片のいくつかはひとつの物語詩として同定されている。現在では『ケレトの伝説(英語版)』(Epic of King Keret)、文化英雄であるダネル(英語版)とその息子アクハトについて書かれた『アクハトの伝説』(Epic of Aqhat)、バアル神(ハダド)とヤム・モート両神との闘争を描いたウガリット神話、その他が知られている。 これらの文書の発見は聖書研究にも大きな意義のあるものである。これらの文書は、イスラエル各氏族のカナンへの入植に先立つ時代のカナン神話に関する詳細な記述を最初に明らかにしたもので、旧約聖書に見られるヘブライ語文学とは神聖なものに対する想像力や詩の形式などにおいて共通するものがある。ウガリット神話の詩は古代オリエントの知恵文学と共通する部分が多く、後のヘブライ語の詩に見られるような対句法、韻律などを含み、文学作品としての旧約聖書の新しい評価を導き出した。 またウガリットからはフルリ語で歌らしきものの書かれた粘土板も出土しており、現在のところ人類最古の歌である(古代の音楽を参照)。
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