いもち病菌
別名:イネいもち病菌、稲熱病菌、イモチ病菌、イネ稲熱病菌、マグネポルテ・グリセア、マグナポルテ・オリゼー、ピリクラリア・オリゼー、Magnaporthe grisea、Magnaporthe oryzae、Pyricularia oryzae
英語:rice blast fungus
イネの主要な病害であり、稲作において大凶作をもたらすことで古くから恐れられてきた、「イネいもち病(稲熱病)」の原因菌。いもち病は病徴の発生部位によって「葉いもち」「穂いもち」などに分けられているが、全てこの単一の菌を病原とする。
イネの品種改良にあたっては、いもち病菌に対する耐性の有無が評価基準として重要になる。そのため、いもち病菌の病原性や、イネのいもち病菌に対する抵抗性に関連する遺伝子の機能は盛んに研究されてきた。また、いもち病菌は産業上の重要性からゲノムプロジェクトの対象に選ばれ、2005年に全ゲノムの解読が完了した。
なお、2002年に発表された分子系統解析により、いもち病菌は2種の隠蔽種からなることが明らかになった。従来「Magnaporthe grisea」と呼ばれていた種が「Magnaporthe grisea」と「Magnaporthe oryzae」に分けられたうち、イネを宿主とする種は「Magnaporthe oryzae」に相当したが、その後も従来通り、いもち病菌が「Magnaporthe grisea」の学名で呼ばれる場合もある。
2014年1月に共同通信は、1960年代の本土復帰以前の沖縄において、米軍がいもち病菌を生物兵器として使用することを企図し、水田で散布実験を行っていたと報じた。
関連サイト:
イネいもち病菌Magnaporthe griseaのゲノム塩基配列 - Nature
A multilocus gene genealogy concordant with host preference indicates segregation of a new species, Magnaporthe oryzae, from M. grisea - Mycologia
米軍、沖縄で生物兵器実験 復帰前の60年代にいもち病菌散布 「ナゴ」「シュリ」「イシカワ」の地名 - 47NEWS(2014年1月16日閲覧)
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