イソギンチャクとの共生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/24 23:38 UTC 版)
「クマノミ亜科」の記事における「イソギンチャクとの共生」の解説
何らかの形でイソギンチャクと関わりを持つ魚類は多いものの、クマノミ類とイソギンチャクの共生関係は最も高度に発達したものとなっている。すべての種がハタゴイソギンチャク科の大型イソギンチャク類と共生する。通常イソギンチャクの触手に触れた動物は刺胞による攻撃を受けるが、クマノミ類は刺胞に対する免疫を持つため、触手に触れても問題なく行動できる。ただしこれは生まれもった体質ではなく、幼魚が徐々にイソギンチャクと触れ合うことで免疫を獲得する。このメカニズムは完全には解明されていないが、体表の粘液分泌もまた、刺胞毒への順応に不可欠な役割を果たすとみられている。 両者の関係は一般に相利共生と考えられている。クマノミ類はイソギンチャクの触手の中で外敵による捕食を避け、自身と卵を守りつつ、他の共生生物やイソギンチャクそのものを餌とする。一方で、クマノミはチョウチョウウオなど、イソギンチャクを狙う他の生物を追い払う。さらに、イソギンチャク表面のゴミを取り除き、餌となりそうな有機物をイソギンチャクに運び、共生藻類の繁殖を促すような行動が観察されている。この関係を通じてイソギンチャク側が得る利益は大きく、クマノミと共生するイソギンチャクはそうでない場合と比べて、高い成長率と無性生殖率、および低い死亡率を示すことがわかっている。 クマノミ類は孵化する前の卵の時点で、将来の宿主となるイソギンチャクの匂いを刷り込まれる。成魚が住み着くイソギンチャクは生涯にただ一つで、数メートル以上離れることもまれである。 同じハタゴイソギンチャク科各種に共生する動物として、クマノミと同じスズメダイ科のミツボシクロスズメダイ、甲殻類ではイソギンチャクカクレエビ、アカホシカニダマシなどが知られている。
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