イソキサフルトール耐性作物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 16:18 UTC 版)
「遺伝子組み換え作物」の記事における「イソキサフルトール耐性作物」の解説
4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)は、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸をホモゲンチジン酸に変換する反応を触媒する。ホモゲンチジン酸はいくつかの段階を経て、光合成やカロテノイド生合成に重要なプラストキノン、トコフェロール類の前駆体である2-メチル-6-フィトキノールへ変換される。 イソキサゾール系除草剤であるイソキサフルトール (isoxaflutole: 5-cyclopropyl-4- (2-methylsulfonyl-4-trifluoromethylbenzoyl) isoxazole, CAS No. 141112-29-0) は、その代謝産物2-シアノ-3-シクロプロピル-1-(2-メチルスルホニル-4-トリフルオロメチルフェニル)プロパン-1,3-ジオン(DKN)がHPPDの基質である4-ヒドロキシフェニルピルビン酸と競合してHPPD活性を阻害することにより除草活性を示す。 植物にイソキサフルトール耐性を付与するために、シュードモナス属細菌Pseudomonas protegens Pf-5株のhppd遺伝子から1塩基置換されたものが用いられている。この遺伝子は、1塩基置換によるミスセンス変異によって本来のアミノ酸配列 (GenBank:AAY92656.1) から1アミノ酸置換されたHPPDをコードしている。この変異型HPPDはDKNによって阻害されにくいためホモゲンチジン酸が合成される(薬剤とその標的との親和性の低下による耐性化)。なお、植物のHPPDはプラスチドに局在しているが、バクテリアであるP. protegenes由来の変異型HPPDはそのままではプラスチドへ移行できない。そこで、変異型HPPDのアミノ末端側にはプラスチドへ移行できるように移行ペプチドが融合されている。なお、P. protegenes Pf-5株はかつてP. fluorescensに分類されていたため、P. fluorescens Pf-5株と記載されている場合がある。バイエルクロップサイエンス社のイソキサフルトール耐性ダイズに関しては、「除草剤グリホサート及びイソキサフルトール耐性ダイズ(2mepsps, 改変hppd, Glycine max (L.) Merr.)(FG72,OECD UI: MST-FG072-3) 申請書等の概要」などで公表されている。
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