アーベル群の準同型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/21 14:08 UTC 版)
G と H をアーベル群(つまり、演算が可換な群)とすると、G から H への群準同型全体の成す集合 Hom(G, H) をそれ自身ひとつのアーベル群とすることができる。ただし準同型 h と k の和 h + k を点ごとの和、すなわち ( h + k ) ( u ) := h ( u ) + k ( u ) ( ∀ u ∈ G ) {\displaystyle (h+k)(u):=h(u)+k(u)\qquad (\forall u\in G)} を満たすものとして定める。H の可換性は、h + k がふたたび群準同型となることを示すのに必要である。 準同型の加法は、準同型の合成と以下の意味で両立する: Hom(K, G) の任意の元 f および Hom(G, H) の任意の元 h, k および Hom(H, L) の任意の元 g に対して ( h + k ) ∘ f = ( h ∘ f ) + ( k ∘ f ) {\displaystyle (h+k)\circ f=(h\circ f)+(k\circ f)} および g ∘ ( h + k ) = ( g ∘ h ) + ( g ∘ k ) {\displaystyle g\circ (h+k)=(g\circ h)+(g\circ k)} が成り立つ。 これはアーベル群 G の自己準同型全体の成す集合 End(G) は(準同型の和と合成に関して)環を成すことを示している。環 End(G) をアーベル群 G の自己準同型環 と言う。たとえば、巡回群 Z/nZ の m 個の直和として得られるアーベル群 G の自己準同型環 End(G) は Z/nZ に成分を持つ m-次正方行列全体の成す環に同型である。上記の和と合成に関する両立性はアーベル群(と群準同型)の圏 Ab が前加法圏を成すことをも示している。直和の存在や核がよく振舞うことから、圏 Ab はアーベル圏の原型的な例となっている。
※この「アーベル群の準同型」の解説は、「群準同型」の解説の一部です。
「アーベル群の準同型」を含む「群準同型」の記事については、「群準同型」の概要を参照ください。
- アーベル群の準同型のページへのリンク