アーベル群の双対
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 07:24 UTC 版)
アーベル群 G から、0 を除く複素数全体のなす乗法群 C× への準同型(これは(1 次の)指標 (character) と呼ばれる)全体のなす群 G^ を双対群(または 指標群)という。指標の間の演算は、写像の値の複素数としての積によって入れる。 アーベル群 G が有限のときには、双対群はもとの群と同型になり、双対群の双対群 G^^ には元の群との間に自然な同型がある。アーベル群とその指標群との双対性はポントリャーギン双対の一種である。なおポントリャーギン双対は、一般には局所コンパクト位相群で考えられる双対性であり、有限アーベル群は離散位相を入れてコンパクト群(したがって局所コンパクト)である。 さらに、有限アーベル群 G の部分群 H に対し、G^ の部分群 H* を、 H ∗ := { χ ∈ G ^ ∣ χ ( h ) = 1 for all h ∈ H } {\displaystyle H^{*}:=\{\chi \in {\hat {G}}\mid \chi (h)=1{\mbox{ for all }}h\in H\}} : 全ての H の元を 1 に写す指標全体 で定義し、G^ の部分群 Φ に対して G の部分群 Φ* を Φ ∗ := { g ∈ G ∣ ϕ ( g ) = 1 for all ϕ ∈ Φ } {\displaystyle \Phi ^{*}:=\{g\in G\mid \phi (g)=1{\mbox{ for all }}\phi \in \Phi \}} : Φ の任意の指標によって 1 に移されるような G の元全体 と定義すると、自然な同型 H ∗ ≃ ( G / H ) ∧ , Φ ∗ ≃ ( G ^ / Φ ) ∧ {\displaystyle H^{*}\simeq (G/H)^{\wedge },\quad \Phi ^{*}\simeq ({\hat {G}}/\Phi )^{\wedge }} が成立する。さらにまた H を H* に対応させるような G の部分群全体から G^ の部分群全体への写像は全単射で、(H*)* = H が成り立つ(Φ* に関しても同様)。 そして有限性や可換性の条件をゆるめると問題は急速に難しくなる。
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