アンペアブレーカーの設置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/27 08:26 UTC 版)
「アンペアブレーカー」の記事における「アンペアブレーカーの設置」の解説
日本では法により、電気(電力)は「財物とみなす」とされている。すなわちその使用権は商取引の対象となるものであり、電力は、電気事業者(電力会社)と需要家(電気購入者のこと。各家庭など)との間での契約(電力需給契約)に基づき、電力会社から需要家に原則として有償で引き渡される(販売される)。アンペアブレーカーは基本的に商取引、すなわち電力の販売量が需要家との契約量を超えないようにするために用いられるものである。 アンペアブレーカーは電力小売事業者(2016年3月までは当該地域を管轄する電力会社)の電気供給約款に基づいて、需要家と電力会社との間で需給契約を締結した後に当該地域を管轄する送配電事業者(同、当該電力会社)により、需要家の需要設備の直前に設置される。例えば関東地区で東京電力エナジーパートナー(同、東京電力)と需要家が「従量電灯B」で契約する場合、10Aから60Aまで7種類の契約があり、それぞれに東京電力パワーグリッド(同、東京電力)により「アンペア値」の違うアンペアブレーカーが設置され(下表参照)、設置後は増量や撤去など細工されないように封印される(特に電力量計の出線が接続される電源側、近年は廃止されつつある)。他地域の電力会社と契約する場合でも、地元の送配電事業者が設置する。例えば関東地区で中部電力ミライズと需要家が「カテエネプラン」で契約する場合、地元の送配電事業者である東京電力パワーグリッドがアンペアブレーカーを設置する。逆に東海地区で東京電力エナジーパートナーと需要家が「スタンダードS」で契約する場合、中部電力パワーグリッドがサービスブレーカー(中部電力パワーグリッドにおける名称)を設置する。 日本では、電気事業法の下に複数の電力会社があり、それぞれが別の企業体である。そして電力は基本的に有形物の取引と同じ扱い(商品)である。従って電力会社の電気供給約款は各電力会社ごとに異なる。電気供給約款に「電流制限器のない」、関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力では、需給契約を締結しても、アンペアブレーカーは設置されず、需要家の主幹ブレーカー(漏電ブレーカーや安全ブレーカー)に直接、電力量計の出線が接続される。 これら4社の場合、需要家の主幹ブレーカー、すなわち保安用主幹ブレーカーの容量が直接、電力会社との契約量になる。つまりこれら4社のエリアに居る需要家は、それぞれの電力会社の電気供給約款にある指定容量の主幹ブレーカーを需要家側で設置して電気を購入する。従って同じ契約名称「従量電灯」でも、電気供給申し込みから給電開始まで実態はかなり異なり、不具合が生じた場合の対応なども異なる。 なお、設備負担範囲などについては、例えば建物までの引き込みは電力会社、以降、電力量計まで需要家、電力量計は電力会社、これ以降は再び需要家…といったように細かいので、詳しくは内線規程の付録まで、また各電力会社の電気供給約款などを参照されたい。
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