アルツハイマー病のタウ仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 10:02 UTC 版)
「タウタンパク質」の記事における「アルツハイマー病のタウ仮説」の解説
「アルツハイマー型認知症の生化学」も参照 アルツハイマー病のタウ仮説では、タウの過剰なまたは異常なリン酸化が、正常な成人のタウを対らせん状細線維へ変化させたり神経原線維変化 (NFT) を引き起こしたりするとされる。疾患の段階によってタウのリン酸化状態は異なっており、NFTは pre-neurofibrillary tangle、intra-neuronal neurofibrillary tangle、extra-neuronal neurofibrillary tangleという段階で進行するが、pre-NFTの段階では119番、202番、409番のセリンがリン酸化されており、intra-NFTでは396番のセリンと231番のスレオニンがリン酸化される。 タウの変異によって、アイソフォームの発現レベルの変化や微小管の機能異常など多くの結果が引き起こされる。タウの機能やアイソフォームの発現を変化させる変異によって、タウの過剰なリン酸化が引き起こされる。変異のないタウが凝集する過程は解明されていないが、リン酸化の増加やプロテアーゼの作用、グリコサミノグリカンなどのポリアニオンへの曝露の結果であると考えられている。過剰なリン酸化がなされたタウは微小管を解体し、タウとユビキチンを対らせん状細線維へ隔離する。この不溶性の構造体は細胞質の機能に損傷を与え、軸索輸送に干渉することで細胞死を引き起こす。 異常な形態のタウタンパク質を攻撃させるワクチンが開発されている。これによってアルツハイマー病の症状が緩和され、最終的には治癒が可能となるかもしれない。
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