アルツハイマー病における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/23 15:59 UTC 版)
「β-セクレターゼ1」の記事における「アルツハイマー病における役割」の解説
アルツハイマー病患者の脳で凝集する、40または42アミノ酸長のアミロイドβペプチドの生成には、アミロイド前駆体タンパク質(英語版) (APP) の2段階の切断が必要である。BACE1によるAPPの細胞外領域の切断は、可溶性の細胞外断片と細胞膜に結合したC99と呼ばれる断片を作り出す。γ-セクレターゼ(英語版)によるC99の膜貫通ドメインの切断によって、APPの細胞内ドメインが遊離するとともにアミロイドβを産生される。γ-セクレターゼはBACE1よりも細胞膜の近くを切断するため、γ-セクレターゼによってアミロイドβの断片が切り出されるのである。最初にBACE1ではなくα-セクレターゼ(英語版)によってAPPが切断されることで、最終的なアミロイドβの生成が防がれる。 家族性アルツハイマー病は疾患の稀な形態で早期の発症を引き起こすが、APPやγ-セクレターゼに重要なプレセニリン(英語版)とは異なり、BACE1をコードする遺伝子に家族性アルツハイマー病の原因となる変異は知られていない。しかし、この酵素のレベルは一般的な発症の遅い孤発性アルツハイマー病において上昇していることが示されている。APPの1残基の変異によって、BACE1が切断を行ってアミロイドβを産生する能力が低下し、アルツハイマー病や他の認知機能低下のリスクが低下する。 BACEによるAPPや他の膜貫通タンパク質の切断の生理学的機能は未知である。BACE2(英語版)はBACE1の近縁なホモログであるが、in vivoでのAPPの切断は報告されていない。
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