アメリカ合衆国外での扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 19:52 UTC 版)
「アメリカ合衆国政府の著作物」の記事における「アメリカ合衆国外での扱い」の解説
アメリカ合衆国政府の著作物を国外で利用しようとする場合、当該著作物は国外においてもパブリックドメインの状態にあるものとして扱われるか(つまり、全世界的にパブリックドメインとして扱われるか)が問題となる。 この点については、アメリカ合衆国外でもパブリックドメインの状態にあると主張されることがある。しかし、ベルヌ条約やTRIPs協定の非加盟国内でパブリックドメインの状態にあると解される可能性があるのはともかくとして(非加盟国の国内法が外国著作物の保護をどこまで認めているかによる。)、アメリカ合衆国が1989年にベルヌ条約に加盟するに至った現状においては、同条約や協定の加盟国内で 17 U.S.C. §105に基づいてパブリックドメインの状態にあるとするのは、否定的に捉える考え方が支配的である。著作権の地域的な効力は一般的に属地主義が妥当すると解されており、国際私法上の問題としても、著作物が著作権の対象となるか否かあるいは著作権の内容については、著作者の本国法や著作物の最初の発行地の法ではなく利用行為があった地の法が準拠法になるとする考え方(保護国法説)が支配的であるためである(詳細は、著作権の準拠法を参照)。つまり、アメリカ合衆国政府の著作物が別の国(X国)で利用される場合、その利用行為が著作権侵害になるか否かはアメリカ合衆国著作権法によるわけではなく、X国の著作権法により判断されるため、アメリカ合衆国著作権法の効力に基づきパブリックドメインであるとは言えない。 この点につき、アメリカ合衆国政府の著作物が日本国内で利用される場合を例にして説明する。まず、保護国法説の観点から、利用地である日本の著作権法に照らして著作権が発生するか否かが判断されるところ、著作権法6条3号にいう「条約によりわが国が保護の義務を負う著作物」に該当するものとして扱われることになる。そして、アメリカ合衆国も日本も加盟しているベルヌ条約では、保護すべき著作物につき加盟国に対して内国民待遇を要求しているため、著作権法13条に規定するもの(憲法その他の法令、通達、判決など)に該当しない限り、アメリカ合衆国政府の著作物は、日本国内においては著作権が発生しているものとして扱われることになる(もっとも、ベルヌ条約に規定する著作権の保護期間に関する相互主義との関係で異なる解釈を採用する少数説もある[要出典])。
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