国際私法上の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 14:03 UTC 版)
「GNU Free Documentation License」の記事における「国際私法上の問題」の解説
通常、著作物の利用許諾をする場合、利用許諾書が規定するライセンスの成立及び効力につき、準拠法を指定する条項が存在する。しかし、GFDLには準拠法に関する条項が存在しない。法律行為の成立及び効力につき、当事者が準拠法の定めをしなかった場合、準拠法を「締結地法」 (lex loci contractus) とするか、「履行地法」 (lex loci solutionis) とするか、当事者の「本国法」 (lex patriae) とするかについては、国際私法の内容が国により異なることもあり、世界的に統一された扱いができないが、いずれにしても当事者の意思とは無関係に準拠法が定まることになる。日本が法廷地になる場合、法の適用に関する通則法8条が適用され、利用許諾につき最も密接な関係がある地の法による。 このため、原著作権者A がその著作物につき GFDL を適用して公開した後、別の者B がその改変版を公開する場合、AによるライセンスとBによるライセンスとでは、同じGFDLを適用していながら、それぞれ準拠法が異なるケースが生じることになる。そのため、同じ文言のライセンスの下に利用許諾をしているにもかかわらず、改変版をめぐって法的な争いが生じた場合、元の文書の著作権者ごとにライセンスの成立及び効力について異なった法を適用しなければならず、法律関係が複雑になる懸念が生じかねないという問題がある(なお、著作権の内容自体は、著作物の利用行為地法が準拠法になると解されている。詳細は著作権の準拠法を参照)。
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