アメリカでの論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/20 22:45 UTC 版)
一方でP&O買収時にはアメリカ合衆国で激しい反発を招き、米国からの撤退を余儀なくされている。P&Oはニューヨーク港、ニューアーク港、フィラデルフィア港、ボルチモア港、ニューオーリンズ港、マイアミ港といったアメリカ東海岸の主要港でコンテナターミナルを運営していた。DPWのP&O買収は、財務省・国務省・商務省・国土保安省などの代表が組織する対米外国投資委員会(CFIUS;committee on foreign investment in the United States)で審議され一旦は了解された。しかし共和党や民主党の下院議員は、治安にとって非常に大きな意味を持つ港湾の運営がアラブ首長国連邦の企業に移ること、これまでアラブ首長国連邦はアルカーイダメンバーの資金集めや人材供給の舞台となってきたことを問題視し、激しく反発した。 ジョージ・W・ブッシュ大統領は、この取引を無効にすることは誤ったシグナルを米国の友人に送ることになるとして議員らに拒否権を発動することを警告し、政府内からもアラブ首長国連邦は親米国家であり米軍のペルシャ湾展開の基地ともなっている、とDPWによる港湾経営取得を支持する声が上がった。しかし2006年2月には議会とホワイトハウスの間で緊張感が高まり、投資の自由を優先するか米国のインフラの防衛を優先するかでメディアや論者を巻き込んだ争いになった。 3月初旬にはDPWがアメリカ国内での港湾運営を米国資本に売却すると説明したことが明らかになり、結局DPWはアメリカの港湾部門をAIG傘下の資産管理会社に売却して撤退している。
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