アイガモ農法における利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/01 08:14 UTC 版)
「アカウキクサ属」の記事における「アイガモ農法における利用」の解説
アイガモ農法にオオアカウキクサなどのアカウキクサを利用することもある。これはアイガモ―アゾラ農法とも呼ばれ、1993年から日本で行われているほか、中国でも同様の農法が導入されている。この農法では、アカウキクサ類が作物の肥料となる上にアイガモの飼料ともなり、雑草を抑制する効果もあるということで、多くの人々の関心を集め、普及が進められている。またその他に、中国やフィリピンなどでは、アカウキクサを利用した稲作に養魚も組み合わせて、イネと魚を同時に収穫する農法も試みられている。ただし、これらの農法で用いられる種は、主にニシノオオアカウキクサやオオアカウキクサであり、窒素含量が少なく生育しづらいアカウキクサはほとんど利用されない。 アイガモ農法では、より繁殖力の強い外来種であるアメリカオオアカウキクサやニシノオオアカウキクサ、またそれらを人工的に掛け合わせて作出された雑種(雑種アゾラと表記される)などを用いることもある。特に雑種アゾラであるアイオオアカウキクサは、増殖力やタンパク質量、窒素固定量が他の種より優れているとされ、農業における利用価値が高いとされている。 しかし、本来自生していない種が導入されることで、絶滅危惧種である在来種と競争して駆逐する可能性が指摘されているほか、交雑による遺伝子汚染なども懸念されている。また在来種を用いる場合でも、地域変異があることが判明しているため、安易に導入することで自然植生が撹乱されるおそれが指摘されている。ただし、雑種のアイオオアカウキクサに関しては、元々が雑種であるため他種と交雑しづらく(交雑成功率は数%であるとされている)、仮に雑種が形成されても不稔になるため、在来種などとの浸透交雑が起きる可能性はほとんど無いと考えられている。 なお、日本においてアメリカオオアカウキクサは、在来種との競合や遺伝的撹乱のおそれがあることから特定外来生物に指定されている。またアカウキクサ属の全種が種類名添付証明書生物(輸入時に種名を添付することが義務付けられる生物)に指定されている。そのため日本では、アメリカオオアカウキクサをアイガモ農法に用いることは出来ないが、アイオオアカウキクサなどの雑種アゾラの農業利用は認められている。
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