たて座ベータ星
(わし座6番星 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/11 22:03 UTC 版)
たて座β星 β Scuti |
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星座 | たて座 | |
見かけの等級 (mv) | 4.22[1] | |
位置 元期:J2000.0 |
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赤経 (RA, α) | 18h 47m 10.4626934070s[2] | |
赤緯 (Dec, δ) | −04° 44′ 52.363891614″[2] | |
視線速度 (Rv) | -21.30 km/s[1] | |
固有運動 (μ) | 赤経: -3.188 ミリ秒/年[2] 赤緯: -15.062 ミリ秒/年[2] |
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年周視差 (π) | 4.7 ± 0.1ミリ秒[3] (誤差2.1%) |
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距離 | 690 ± 10 光年[注 1] (213 ± 5 パーセク[注 1]) |
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絶対等級 (MV) | -2.4[注 2] | |
たて座β星の位置(丸印)
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軌道要素と性質 | ||
軌道長半径 (a) | 3.4 AU[3] | |
離心率 (e) | 0.3207[1] | |
公転周期 (P) | 833.26 日[1] | |
軌道傾斜角 (i) | 119°[3] | |
近点引数 (ω) | 35.2°[1] | |
物理的性質 | ||
半径 | 51 / 2 R☉[4] | |
質量 | 5.0 / 2.7 M☉[3] | |
表面重力 | 0.009 G[5][注 3] | |
自転速度 | 8.0 km/s[6] | |
スペクトル分類 | G4 IIa[7] + B9 V[8] | |
光度 | 1,130[9] / ? L☉ | |
表面温度 | 4,800 / 10,200 K[9] | |
色指数 (B-V) | 1.10[1] | |
色指数 (U-B) | 0.81[10] | |
色指数 (R-I) | 0.57[10] | |
金属量[Fe/H] | -0.15[5] | |
他のカタログでの名称 | ||
BD-04 4582, FK5 1489, GSC 05122-01426, HIP 92175, HR 7063, HD 173764, IRC +00376, SAO 142618[2] | ||
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たて座β星(たてざベータせい、β Scuti、β Sct)は、たて座にある連星である。年周視差に基づいて計算した、太陽からの距離は、およそ690光年である[3]。見かけの等級は4.22で、肉眼でみることができる[10]。
名称
たて座β星という名称は、バイエル名であるが、符号を付けたのはバイエルではない[11][1]。たて座は、バイエルがウラノメトリアを発表した後に、ヘヴェリウスが新しく作った星座であり、ウラノメトリアにもたて座β星にあたる恒星は描かれているが、あるのはわし座の星図内で、符号は書かれていない[12][1]。フラムスティード名でも、わし座の恒星という扱いで、わし座6番星があてられていた。たて座の恒星としてβの符号を付けたのは、グールドである[11][1]。
中国では、たて座β星は、市場を管理する官を意味する天弁(拼音: )という星官を、たて座α星、たて座δ星、たて座ε星、たて座η星、わし座12番星、わし座λ星、わし座15番星、わし座14番星と共に形成する[13]。たて座β星自身は、天弁四、つまり天弁の4番星として知られる[14]。
星系
たて座β星は、1899年からリック天文台で視線速度が測られ、1900年には視線速度の変化から分光連星ではないかと報告されている[15]。1927年には、ドミニオン天体物理観測所での観測から、軌道要素が報告され、連星としての性質が明らかになった[16]。
たて座β星系は、公転周期が約2.3年、離心率が0.32という軌道をとっており、軌道長半径は3.4AUと推定される[1][3]。
伴星は、紫外線の測光観測で得たスペクトルエネルギー分布によって、主星から分離したデータも確認された[17]。更に、アメリカ海軍天文台とローウェル天文台が運用する海軍精密光干渉計によって、伴星が直接検出もされている。その際は、主星との離角は16.8ミリ秒、等級差は3.6であった[4]。
特徴
主星は、G型輝巨星で、スペクトル型はG4 IIaとされるが、推定の方法によってはG8 IIやG6 Ibといった主張もあり、ばらつきがある[7][9][18]。伴星は、紫外線のデータからB9型の主系列星と推定される[8]。
連星で、軌道要素もよく決まっていることから、質量も推定されており、主星は太陽の5倍程度、伴星は太陽の2.7倍程度の質量と考えられる[3]。
脚注
注釈
- ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
- ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
- ^ 出典での表記は、
18h 47m 10.4626934070s, −04° 44′ 52.363891614″
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