竹とんぼとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 竹とんぼの意味・解説 

竹とんぼ

(たけとんぼ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/20 18:27 UTC 版)

竹とんぼ

竹とんぼ(たけとんぼ、竹蜻蛉)とは、回転翼と翼をまわすためのによって構成される中国の伝統的な飛翔玩具である。

歴史

中国に古くからあり、東晋時代に葛洪が著した道教煉丹術の文献『抱朴子』にも「飛車」というものがでてくる[1]。15世紀にはヨーロッパに伝わったとみられ、聖母子像の中にはこのような玩具を持った絵もあり[2][3]ルネサンス期のヨーロッパの芸術にも影響を与えている[4]。このことから中国学者ジョゼフ・ニーダムらは竹とんぼはヘリコプターの始祖となったとしている[5][6]

日本への伝来時期は不明だが奈良時代後半頃の長屋王邸跡から類似の木製品が出土している。平安時代鎌倉時代の遺跡数ヶ所からの出土例もある。腐敗しやすい木製であるため例は限られている[7]

構造

巻きつけ糸を使用する竹製(左)とプラスチック製(右)

竹を切り出してプロペラ状の竹片とし硬い竹ひごを軸となる心棒として取り付けたもの[8][9]。名が示すとおり本来は製玩具であるが、プラスチック製など材質を変えたものもある。心棒を両手の手のひらでこすり合せるように回転させてプロペラの揚力で空へ飛ばす[8][9]

竹とんぼの中には翼部分に2つの穴があり2股の心棒を用いて翼(プロペラ)だけ飛ばすものもある[8]。さらに、巻きつけたを使うなどして回転翼部分のみを回転させ、これのみ飛翔する場合がある。翼の効率が同じなら翼が分離する型のほうが軽いため高く飛ぶ。

テニスラケットの定理により、心棒の長さには飛行が不安定になる領域が有りそれより長く、もしくは短くする必要がある。[10]

推進力は軸部分を回転させることで得る。上のように簡易なものの場合は両掌を相互に逆方向へすり合わせる動きで軸を回転させ利用するが、糸などで軸をコマのように回転させて揚力を得る場合には、軸に巻きつけられた糸を引くことによって、揚力を得る。

離陸時に与えられた回転力が慣性力として蓄えられ上昇する。慣性力による回転力が失われると下降する。

一般的な竹とんぼはヘリコプターと違ってローターのピッチが固定であるため、オートローテーションが出来ない。ヒンジを取り付けることで降下時も揚力を発生させるとともに回転数の低下を抑えることができ、滞空時間が向上する。[11]

イベント

  • 全国竹とんぼ競技大会 - 飛距離や滞空時間を競う全国大会

脚注

  1. ^ Joseph Needham and Ling Wang (1965), Science and civilisation in China: Physics and physical technology, mechanical engineering Volume 4, Part 2, pp. 582–583
  2. ^ Charles H. Gibbs-Smith, Origins of the helicopter, New Scientist, vol. 14.4, 3 May 1962, p. 229
  3. ^ Goebel, Greg. 25 September 2006 at the Wayback Machine The Invention Of The Helicopter
  4. ^ Donald F. Lach (1977).Asia in the making of Europe. Volume II, A Century of Wonder. p. 403
  5. ^ Joseph Needham, Kenneth Girdwood Robinson (2004). Science and civilisation in China, Volume 7: The Social Background, Part 2, General Conclusions and Reflections. Cambridge University Press. p. 225
  6. ^ Leishman, J. Gordon (2006). Principles of Helicopter Aerodynamics. Cambridge University Press. pp. 7–9. ISBN 0-521-85860-7
  7. ^ "鎌倉期の木製とんぼ出土 白山平泉寺"(中日新聞、2016年6月22日記事)。
    "鎌倉時代の竹とんぼ出土、県内初 -平泉寺旧境内、祭祀に使用?-"(福井新聞、2016年6月22日記事)。
  8. ^ a b c 日本民具学会 『日本民具辞典』ぎょうせい p.322 1997年
  9. ^ a b 笹間良彦 『日本こどものあそび大図鑑』遊子館 p.126 2005年
  10. ^ 竹とんぼの理論”. tonbosato.sakura.ne.jp. 2024年12月23日閲覧。
  11. ^ skyex (2006年11月10日). “タケトンボ.....古くて新しい航空技術との融合 Bamboo dragonfly-N - skyexのエアロダイナミズムAero dynamism of Skyex”. skyexのエアロダイナミズムAero dynamism of Skyex. 2024年12月23日閲覧。

関連項目



このページでは「ウィキペディア」から竹とんぼを検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から竹とんぼを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から竹とんぼ を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「竹とんぼ」の関連用語

竹とんぼのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



竹とんぼのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの竹とんぼ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS