そのほかの「新しい中世」についての議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/05 07:04 UTC 版)
「新しい中世」の記事における「そのほかの「新しい中世」についての議論」の解説
フィリップ・サーニーは、「いかなる集団あるいは集団中の集団も、それ独自では国際システムの変化を管理できず、多様な集団間で展開する風土的競争によって、いずれの集団であれ自らがもつ管理能力が損なわれてしまう」状況を「新しい中世」と形容し、短中期的にみれば、21世紀の世界秩序(あるいは無秩序)を理解する「よりよい指針」となりえると論じる。 デヴィッド・ヘルドは、「『新中世主義』の恐れによって提起された危険性は、『政治的行為の共通構造』のために必要とされる諸ルールを、その構造を構成する各々の部分で確立し法制化するならば、克服することも不可能ではない」と述べ、民主主義のコスモポリタン・モデルへの契機を見出している。 田所昌幸は、主権秩序とグローバリゼーションの緊張関係から生じる未来イメージのひとつが主権の溶解による「新中世的(無)秩序」であり、それは「国家の役割が一方で低下し、それに代わって国際的、国内的にさまざまなアクターが国家の独占してきた役割を引き受けはじめる。他方で国際的には、市場経済や民主主義、人権や産業主義といった原則については、おおむね合意が得られており、その意味で主権秩序の誕生する以前の中世的秩序のあり方が想定できる」と論じる。 遠藤誠治は、「広義の国際秩序を全体として維持していくような実効的な権力が、全体として失われてしまう可能性」が生じた場合、「全面的な崩壊とはならないにしても無秩序を制度として抱え込んでしまった『新しい中世』という構造」が出現することを示唆している。
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