課税最低限(かぜいさいていげん)
課税最低限とは「所得税を課す最低金額」である。自分の所得がこの課税最低限を超えたとき、所得税が課される。
例えば500万円の収入に対して課税最低限が384万円※のとき、116万円が課税所得で、これの10%の11万6000円が所得税額である。また収入が仮に384万円以下だと課税所得はゼロになる。つまり所得税は納入しない。
※384万円…モデルケース(夫婦と子2人、うち1人は16歳以上22歳以下)の場合の課税最低額。課税最低額は家族構成など、人によって違う
2000年7月、政府税調では「課税最低限が、あまり高い状態は望ましくない」と課税最低限の引き下げが言及された。課税最低限を384万円から364万円(仮)のように下げる、ということである。そうすると先ほどの収入500万円の人の場合、136万円が課税所得になり、所得税額は13万6000円である。所得税額が2万円上がるのが分かる。
要するに「課税最低限の見なおし」とは、事実上の「増税」になる。課税最低額引き下げは、具体的には各種控除の撤廃や見直しによって行われる模様である。特に配偶者控除については「見直す必要がある」と言及されている。
代表的な「所得控除」を紹介する。
(1)基礎控除
納税者全員に適用されるのが「基礎控除」である。納税者の最低限度の生活費には課税しない、という趣旨から設けられている。この基礎控除の額は年間38万円である。
(2)配偶者控除・配偶者特別控除
「配偶者控除」は配偶者がいる人を対象とする控除である。妻の年間所得額が38万円以下の場合、夫は38万円の配偶者控除が適用される。「配偶者特別控除」は妻に収入がない場合や妻の収入が少ない場合など、最高38万円が控除される。配偶者控除と配偶者特別控除を合わせると、控除額は最高76万円である。
(3)扶養控除
「扶養控除」は扶養親族がいる人に適用される。16歳未満の子がいれば一人につき48万円、高校生・大学生であれば同じく63万円が控除額である。その他の扶養親族にも、所得金額などの条件を満たせば年齢を問わず控除が適用される。
(4)その他の所得控除
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料掛け金控除、損害保険料控除、障害者控除、勤労学生控除、老年者控除、寡婦控除、寄付金控除…などがある。条件を満たせば、それぞれ適用される。
所得からこれらの控除をすべて差し引いたものを課税所得と言い、所得税はこれに課税される。具体的には、課税所得金額が330万円以下は10%、900万円以下は20%、1800万円以下は30%、それ以上は37%が課税される。
(2000.07.26更新)
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