オーストリア連立政権問題(おーすとりあれんりつせいけんもんだい)
オーストリアで極右政党の政権入りがEU諸国の反発を招いている問題
自由党のハイダー党首は、東側からの移民の増加を招くとしてEU拡大に反対したり、ユダヤ人に対する迫害を行ったナチスの政策を称賛したりするなど極右思想を展開している人物である。このハイダー党首が率いる自由党が連立政権に入るとあって、現在13ヶ国を加盟候補として拡大EUを進めているEU諸国は、人権と基本的自由の尊重などを定めたEU条約(アムステルダム条約)の精神に反するとして、次々にオーストリアとの関係凍結を打ち出している。
オーストリア下院の議席数は、多い方から順に、社会民主党(65議席)、自由党(52議席)、国民党(52議席)、緑の党(14議席)の全183議席である。当初、社会民主党と国民党が連立協議を進めていたが、結局失敗に終わっている。社会民主党のクリマ党首は、議席数が過半数に達しないことから単独政権の樹立を断念した。そこで、自由党と国民党との間で、連立協議が始まった。
組閣人事について、首相には保守系・国民党のシュッセル党首が就任し、極右・自由党のハイダー党首はケルンテン州知事のまま閣外にとどまることになった。1999年10月の総選挙後から続いていた政権協議は、とりあえず一段落した形となる。しかし、EUを中心として国際社会の理解が得られるかどうかは未知数である。
(2000.02.05更新)
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