『陸軍航空兵器研究方針』
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「一式戦闘機」の記事における「『陸軍航空兵器研究方針』」の解説
九七戦開発中に考案された航本の昭和12年度『陸軍航空兵器研究方針』において、単座戦闘機は「機関銃搭載型」と「機関砲搭載型」の2種が定義されており、これに則って開発が始められた機体がキ43(前者)とキ44(後者)である(のちに二式戦闘機「鍾馗」となるキ44は1938年(昭和13年)に同じく中島に対して研究内示が行われた)。昭和13年度『陸軍航空兵器研究方針』ではそれらを発展させた区分として「軽単座戦闘機」と「重単座戦闘機」が登場。「軽単座戦闘機(軽戦)」は格闘戦性能を重視し機関銃を装備、「重単座戦闘機(重戦)」は速度を重視し機関砲を装備するものと定義され、当時開発中であったキ43は「軽戦」に、キ44は「重戦」となっている。そのためキ43はキ44と比べて格闘戦を重視するものであった。青木技師は陸軍の要求は「九七戦に対し運動性で勝ること」で「近接格闘性」という表現を排除していることに着目し、キ43は重戦指向であったと述べている。 さらに区分が明文化された昭和15年度『陸軍航空兵器研究方針』では、「重戦」は高速重武装かつ航続距離や防弾装備にも優れ対戦闘機対爆撃機戦に用いる万能機たる本命機に昇華した一方で、「軽戦」は格闘戦を重視し主に対戦闘機戦に用いる性能装備面で妥協した補助戦闘機的ものとなっている。1941年12月には中島に対し「重戦」の発展型としてキ84の内示が行われ、これはのちに四式戦闘機「疾風」として制式採用。これは速度・武装・防弾・航続距離・運動性・操縦性・生産性に優れた万能機たる本命機となっている。続く昭和18年度『陸軍航空兵器研究方針』では「軽戦」と「重戦」の区分は廃止され、妥協の産物かつすでに時代遅れの存在である「軽戦」は「重戦」に併呑され「近距離戦闘機(近戦)」となっている(同年度方針では「近戦」のほかに「遠距離戦闘機(遠戦)」・「高高度戦闘機(高戦)」・「夜間戦闘機(夜戦)」の区分が登場)。
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