『皇帝フリードリヒ二世』
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「エルンスト・カントロヴィチ」の記事における「『皇帝フリードリヒ二世』」の解説
イスラム経済史で学位を取ったカントロヴィチであったが、その関心は中世ヨーロッパ、とくに王権論に移っていった。彼は文化的に保守的なエリートであるゲオルゲ・クライスの影響を受け、旧来の見方を押し流す極めて異端的な著作『皇帝フリードリヒ二世(英語版)』を書きあげた。この神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世の伝記は、1927年にドイツ語で、1931年に英語で刊行された。フリードリヒ2世治下の典型的な法制、制度、政治的・軍事的事績を調べるのではなく、彼を詩的な調子で激賞し、悲劇の英雄として、また「ローマ・ゲルマン人」として描いたのである。 この本には脚注がなく、歴史的事件の記述を省いては空想的な伝説やプロパガンダ的な叙述に置き換えているように見える。歴史学会の主流派からは、当惑と批判の声が上がった。批評家たちは、文字通りの神話創作の類であり、真面目な歴史学の作品ではないと酷評した。これに対しカントロヴィチは、1931年に詳細な歴史史料で伝記を固めなおした重厚な姉妹編 (Ergänzungsband) を出版することで応えた。
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