『思潮』の廃刊と『思想』の創刊
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「思想 (雑誌)」の記事における「『思潮』の廃刊と『思想』の創刊」の解説
前述のように、『思想』の前身にあたる雑誌として、岩波書店から『思潮』が刊行されていた。和辻哲郎によると、この雑誌は『思想』につながる側面があるものの「同人誌」的な色彩であったという。 この『思潮』が廃刊になった後、2年前後が経過した後に、岩波茂雄によって雑誌『思想』の刊行が計画される。和辻はこの問題に石原純が東北帝国大学を退職したことが関係している可能性を指摘しつつ、岩波が「岩波書店の雑誌」として『思想』を刊行するのに協力を求めてきたことを述懐している。このような経緯ののち、大正10年10月に創刊号が刊行された。創刊号に掲載された文章は次のような表題であった。 ラファエル・ケーベル 盛夏漫筆 桑木厳翼 流行の哲学思潮 土居光知 国民的文学と世界的文学 石原純 相対性原理の真髄 和辻哲郎 原始基督教の文化史的意義 M.M. 世界見聞録 倉田百三 父の心配 このうち、倉田の執筆した文章は創作であり、戯曲であった。和辻によると、発刊直後は、掲載された文章の中では、この倉田の戯曲の評判が良かったという。また、ケーベルによる随筆は継続して掲載されており、これはケーベルの逝去まで続いた。 創刊後しばらくの間の『思想』には、創作欄が設けられていたことが特色のひとつである。谷川徹三によると、倉田のほか、中勘助、小宮豊隆、安倍能成らの小説、随筆等が掲載されていた。
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