『創造的進化』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 04:02 UTC 版)
「アンリ・ベルクソン」の記事における「『創造的進化』」の解説
1907年に第三の主著『創造的進化』を発表する。この本の中で、ベルクソンは、当時人口に膾炙していたスペンサーの社会進化論から出発し、『試論』で意識の流れとしての「持続」を提唱した。そして、『物質と記憶』で論じた意識と身体についての考察を生命論の方向へとさらに押し進めた。これは、ベルクソンにおける意識の持続の考え方を広く生命全体・宇宙全体にまで推し進めたものといえる。ダーウィンの進化論における自然淘汰の考え方では、淘汰の原理に素朴な功利主義しか反映されていない。しかし実際に起こっている事態は異なる。それよりはるかに複雑かつ不可思議な、生を肯定し、生をさらに輝かせ進化させるような力、種と種のあいだを飛び越える「タテの力」、「上に向かう力」が働き、突然変異が起こるのである。そこで生命の進化を推し進める根源的な力として想定されたのが、"élan vital"「エラン・ヴィタール 生命の飛躍(生の飛躍)」である。ベルクソンはここで、普遍的なものが実在するという大胆かつ前科学的な立場を肯定しており、経験論、唯名論に対する少数派、中世的な実在論に身を置いている。
※この「『創造的進化』」の解説は、「アンリ・ベルクソン」の解説の一部です。
「『創造的進化』」を含む「アンリ・ベルクソン」の記事については、「アンリ・ベルクソン」の概要を参照ください。
- 『創造的進化』のページへのリンク