『信仰が人を殺すとき』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 07:18 UTC 版)
「ジョン・クラカワー」の記事における「『信仰が人を殺すとき』」の解説
(原題:Under the Banner of Heaven)2003年出版。3作目のノンフィクション・ベストセラーで、過激派宗教団体、特にモルモン教原理主義について調査したものである。クラカワーはこれら過激派の一夫多妻制に着目し、モルモン教の歴史を通した文脈の中で精査している。内容の多くは原理主義信仰の名のもとに殺人を犯した、ラファティ兄弟に関するもの。 末日聖徒イエス・キリスト教会が運営するブリガムヤング大学で宗教理解を教えるロバート・ミレット教授は、本書を、紛らわしく、杜撰に構成され、誤解を招き、間違いが多く、偏見と中傷に満ちていると書評した。また、末日聖徒イエス・キリスト教会のメディア担当者マイク・オッターソンはAP通信に対し「この本は歴史書ではないし、クラカワーも歴史家ではない。彼は面白く見せるために都合よくストーリーを切り抜くウソつきだ。彼の根底には、宗教を信じる人々は非合理で、非合理な人々はおかしなことをするという考えがある」と述べた。 これに対しクラカワーは「本当の悲劇は、教会の指導者や教師や作家たちが信徒に対し、モルモン教の過去の問題について、自分たちの知っている真実を語ることなく、代わりに決り文句や半面の真実、省略、もっともらしい否認の入り混じったものを語ってきたことだ」という1993年に破門された歴史家D・マイケル・クインの言葉を引用し、「図らずもクイン博士と同意見だ」と再反論した。 2006年、本書にインスパイアされたドキュメンタリー「Damned to Heaven」が制作された。
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