『クロニカ』
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またカトリック教会は地下出版(サミズダート)などの活動にも関わっていた。1972年にソ連の圧政に抗議して、カウナスの学生ロマス・カランタ (Romas Kalanta) が焼身自殺を遂げ、それに続くように10件の焼身自殺が起きたが、これらの事件をきっかけとしてカトリック教会もリトアニアで起きていることの真実を内外に知らせるための活動に乗り出す。司祭の多くが弾圧を受ける中、10人の神父によって『リトアニア・カトリック教会報告』(通称『クロニカ』)が創刊され、全国各地に配布されるなどした。出版関係者はKGBによって逮捕されたり、あるいは精神病患者として強制的に入院させられサイキヤトリック療法という名のマインド・コントロールを受けるなどした が、そんな中でも『クロニカ』は定期的に印刷された。 当時編集を務めていたシギタス神父の回想によると、『クロニカ』は南部のシムナス (Simnas) で編集され、そこで8部印刷されたあとリトアニア各地で複写され、計100部から150部が国内に出回ったという。『クロニカ』は海外にも密輸され、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語に翻訳されたが、そうして翻訳されたものがミュンヘンやバチカンのラジオ局で取り上げられ内容が放送された。海外で放送された『クロニカ』のラジオ放送は、ソ連当局によって電波が妨害され雑音まじりではあったもののリトアニア本国にも発信された。また1974年にはシカゴで「クロニカ・ユニオン協会」も設立され、『クロニカ』が10冊の本に再編・再版された。 『クロニカ』はシギタス神父のもとで第57号まで発行されたが、彼はその後1983年にKGBによって逮捕される。しかしそれでも、『クロニカ』は発行され続け、1989年までに82号出版された。
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