『アエネーイス』の受容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 14:37 UTC 版)
「ウェルギリウス」の記事における「『アエネーイス』の受容」の解説
『アエネーイス』については過去、さまざまな議論がなされてきた。叙事詩全体の語り口が特に論争の的となった。『アエネーイス』がまったくもって悲観的であり、アウグストゥスの新体制に対して政治的な動揺を与えるとみなした論者もいれば、まったく逆に『アエネーイス』が帝政の開始をことほぐものだとみなした論者もいる。アウグストゥスの新体制の暗喩を『アエネーイス』に見て取り、ローマの建設者と再建者、アエネーアースとアウグストゥスとのあいだに強い関係があると読む学者もいる。クライマックスへ一直線に進む強い目的論を見出す読み方もまた、なされてきた。本書がローマの未来に関する予言の書とみなされることもあった。あるいは、アウグストゥスやカエサルなどの功績、カルタゴ戦争を暗喩しているとする読みもあり、アエネーアースの盾にはアクティウムの海戦におけるアウグストゥスの勝利が描かれているとまで言われている。 アエネーアースという登場人物に焦点を当てた研究もある。叙事詩の主人公としてアエネーアースはいつも、個人の感情と、ローマを建国するという彼に課せられた義務の遂行とのあいだを行ったり来たりする。ところが長い叙事詩の最後に彼は、感情を抑えることができずにトゥルヌスを冷酷に殺す。「信心深い義人」アエネーアースがそのような一線を越えた行動をすることに注目する研究がある。 『アエネーイス』は非常に好評を博したようである。ウェルギリウスは第二、四、六巻をアウグストゥスに読み聞かせたと言われている。絵画のテーマにもなった有名なエピソードではあるが、学術的には疑わしいとする意見もある。
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