『ちかいの魔球』との類似点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 14:15 UTC 版)
「巨人の星」の記事における「『ちかいの魔球』との類似点」の解説
文筆家で漫画家でもある夏目房之介は、自著『消えた魔球』(双葉社)の中で本作と『ちかいの魔球』(原作:福本和也・作画:ちばてつや)との類似点を指摘している。 『ちかいの魔球』の主人公が最初に投げた魔球は、ボールの後ろの空気の渦でボールが一瞬引き戻され、バッターの間合いを崩してしまうというもの。次いで生まれた魔球は、ボールの残像により、ボールが4つに分身して見えるというもの。3つめの魔球は、主人公が足を高く上げて投球すると、なぜかバッターの前でボールが消えてしまうというもの。大リーグボール1〜3号の内容によく似ている。『ちかいの魔球』作中では変化のメカニズムの説明はなく、夏目は、大リーグボール2号は『ちかいの魔球』の消える魔球を理論的に説明したもの、と評している。 こういった魔球の内容に加え、主人公がジャイアンツ所属の左投げ投手である点、主人公が魔球の開発にばかり執心な点、クライマックスで完全試合達成のために魔球を投げすぎて倒れる点、ライバルのバッターがタイガース所属で長髪が特徴な点など、両作品の内容が非常に似通っていることを指摘。『ちかいの魔球』(1961年 - 1962年)と『巨人の星』(1966年スタート)の両方をリアルタイムで読んでいたことを踏まえ、「はっきりいって『巨人の星』は『ちかいの魔球』のいただきです」と述べている。当時の夏目は『巨人の星』が『ちかいの魔球』の「いただき」(パクリ)であることに気づいていたため、『巨人の星』に対し良い感情を持っていなかったという。 その一方で夏目は、『ちかいの魔球』にない「梶原一騎的」な部分こそが『巨人の星』の名作たる所以と本作の価値も認めている。 なお、『週刊少年マガジン』の元編集長である宮原照夫は自著『実録!少年マガジン名作漫画編集奮闘記』の中で自分が『ちかいの魔球』と『巨人の星』の企画者で、漫画家・原作者のプロデュースも行ったと書いており、両作に共通点があるのは担当者が同一だからとも考えられる。
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