「虫」とは
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 14:24 UTC 版)
作中でグレゴール・ザムザが変身するものは通常「虫」「害虫」と訳されるが、ドイツ語の原文はUngezieferとなっており、これは鳥や小動物なども含む有害生物全般を意味する単語である。作中の記述からはどのような種類の生物かは不明であるが、ウラジミール・ナボコフは大きく膨らんだ胴を持った甲虫だろうとしている。 『変身』の初版表紙絵は写実画家のオトマール・シュタルケが担当したが、カフカは出版の際、版元のクルト・ヴォルフ社宛の手紙で「昆虫そのものを描いてはいけない」「遠くからでも姿を見せてはいけない」と注文をつけていた。実際に描かれたのは、暗い部屋に通じるドアから顔を覆いながら離れていく若い男の絵である。 文具メーカーモンブランは「作家シリーズ」の一つとして2004年に「フランツ・カフカ・モデル」の万年筆を発売したが、そのペン先には「虫」をイメージしたチャバネゴキブリらしい昆虫が彫刻された。カフカによる「虫」の抽象化には反するが、当時の西ヨーロッパにおける「虫になったザムザ」の共通イメージとしてゴキブリが意識されていた可能性がある。
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