「自然」の意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 05:35 UTC 版)
直観的には、常用の記数法が底 10 の位取りであるため、10を底とする「常用対数」がよほど「自然」に感じられるかもしれない。だが、数学的に見れば10は何ら著しい特徴を持つ数ではなく、10 を用いるのは文化的な理由(典型的には両手の指の数が10本あること)からだ。文化的な理由ではほかにも 5, 8, 12, 20, 60 などに基づく命数法がしばしば用いられる。 自然対数 loge が「自然」であるというのは、数学において自然に生じ、よく見かけるということを根拠とするものである。例えば対数函数の微分の問題 d d x log b ( x ) = d d x ( ln ( x ) ln ( b ) ) = 1 ln ( b ) ⋅ d d x [ ln ( x ) ] = 1 x ln ( b ) {\displaystyle {\frac {d}{dx}}\log _{b}(x)={\frac {d}{dx}}\left({\frac {\ln(x)}{\ln(b)}}\right)={\frac {1}{\ln(b)}}\cdot {\frac {d}{dx}}[\ln(x)]={\frac {1}{x\ln(b)}}} を考えるとき、底 b が e に等しいならば、この導函数は単に 1/x となり、x = 1 における微分係数は 1 に等しくなる。 別な意味で底 e の対数が最も自然と思わせる理由として、単純な積分やテイラー級数でそれが極めて容易に定義できること(それは他の対数ではできない)が挙げられる。この自然さの更なる意味は、微分積分学の中では見えてこないが、例えば自然対数を含む単純な級数が様々存在することによって知ることができる。ピエトロ・メンゴリ(英語版)とニコラス・メルカトルがそれを「自然対数」(羅: logarithmus naturalis) と呼んだのは、ニュートンとライプニッツが微分積分学を繰り広げるよりも、何十年か先んじる。
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