「技術」と「真・偽の能力」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 00:21 UTC 版)
「ヒッピアス (小)」の記事における「「技術」と「真・偽の能力」」の解説
7. ソクラテスは、ヒッピアスは計算術に修熟しているか問う。ヒッピアスは、誰よりも優れていると答える。ソクラテスは、それはヒッピアスがこのことにかけて、最も能力があり、最高の知者であるからなのか問う。ヒッピアスは、肯定する。ソクラテスは、それではヒッピアスはこのことにかけて、最も優れた者でもあるのか問う。ヒッピアスは、肯定する。ソクラテスは、それではヒッピアスはこの分野においては、「真実を語る」能力を最も多く備えているということか問う。ヒッピアスは、肯定する。ソクラテスは、ではこの分野で「偽りを語る」能力はどうなのか問う。最も真実を語れる限りは、その気になれば、最も偽りを語れるということではないのかと。ヒッピアスも、同意する。ソクラテスは、では「偽りの人」はこの分野においてはどうなのか問う。他の諸々のことで偽る能力があるのなら、計算においてもそうではないのかと。ヒッピアスは、もちろん数に関しても偽る能力があると答える。 8. ソクラテスは、では計算についても「偽りの人」がいるということか問う。ヒッピアスは、肯定する。ソクラテスは、他方でヒッピアスは先程、「計算に関する偽りを言う能力を、最も多く備えている人」であることが明らかになったと指摘。ヒッピアスも、同意する。ソクラテスは、またヒッピアスは、「計算に関して真理を言う能力も最大」だと指摘。ヒッピアスも、同意する。ソクラテスは、それでは、計算に関して、偽りと真実を述べる能力を最も多く備えているのは、同じ人物であり、それはすなわち計算家であると指摘。ヒッピアスも、同意する。ソクラテスは、ではこうした事柄では、(冒頭に述べられたように、「偽りの人」と「真実の人」が正反対の別々の人間で、「真実の人」の方が優れているといったことはなくて)同一人物が「偽りの人」でも「真実の人」でもあり、そうである以上「真実の人」が「偽りの人」よりも優れているということもないと指摘。ヒッピアスは、この場合はそのようだと認める。ソクラテスは、他の場合についても調べることを要請。ヒッピアスは、同意する。 9. 幾何学、天文学でも同様の考察が行われ、同様の結論を得る。 10. ソクラテスは、多才なヒッピアスの諸々の技術を挙げながら、そんな自分や他者の技術に目を向けながら、先の結論に反するような例があったら挙げてみてほしいと問う。 11. ヒッピアスは、今すぐにはできないと述べる。ソクラテスは、話題を代えて、それではアキレウスは「真実の人」で、オデュッセウスは「偽りの人」という冒頭の話は誤りで、アキレウスもオデュッセウスも共に、「真実の人」であると同時に「偽りの人」でもあり、似たもの同士だと指摘。ヒッピアスは、ソクラテスはいつもこうして議論を細切れにしてつつき回し、全体に目を向けないと批判。更に、ソクラテスが望むなら自分はアキレウスがオデュッセウスよりも優れた者であることを多くの証拠を以て証明してみせると述べ、ソクラテスに反論してみるよう要請する。
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