「技術指向」
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STSの決定的な契機のひとつとして、1980年代半ばに技術論が幅広い関心を持ち込みそれが科学論のプログラムに反映されるようになったことがあげられる。この10年間の間、スティーヴ・ウルガーが「技術回帰」と呼ぶものをよく示しているふたつの著作が続いて発行された。『技術の社会形成』(ドナルド・マッケンジーとジュディ・ワイスマン、1985)と『技術システムの社会構築』(ヴィーベ・E・バイカー、 トーマス・P・ヒューズ、トレヴァー・J・ピンチ、1987)である.マッケンジーとワイスマンは技術計画に対する社会の影響を証明する論集を出版することでこの分野の発展を促進した。トレヴァー・ピンチとヴィーベ・バイカーの論考はこの分野の根幹となるものであり、技術の社会学がどのように科学知識の社会学により確立された理論的・方法論的方針に正確に沿って進展し得るかを示すことで、科学知識の社会学のあらゆる正統性をこうした発展に帰した。これが技術の社会構築と呼ばれる分野の知的基礎となった。 発展中であったさまざまなSTSプログラムの中では、既に基本的にはこうしたプログラムは統一的な基盤に立っているのだという意識が根底として育っていたが、「技術指向」によってこの意識はさらに強化された。より最近になると、物質性を一斉に指向する動きが見られる。物質性により、社会技術的なものと物質的なものが互いを共同で作り上げる。これはカール・メイ、ネリー・オーツホーン、アンドルー・ウェブスターのような生体医学のSTS分析における著作でとくに顕著である。
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