「情報を売る」という考え方の脆弱さ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 18:09 UTC 版)
「おいしい生活 (キャッチコピー)」の記事における「「情報を売る」という考え方の脆弱さ」の解説
高度経済成長期以降第三次産業の勃興が著しい中、「物を売る」から「情報を売る」という日本経済史上でも抜本的な変革をもたらしたのが、「おいしい」ライフスタイルを提案する本キャッチコピーに他ならない。しかし、「情報を売る」という概念自体には脆弱さも同時に潜む。 劇作家、作家、演出家の宮沢章夫は、受け手(消費者)に一定の「豊かさ」が無ければ「はたしてこの〈情報〉にどれだけの価値があるのか」と再考せざるを得ないと指摘。「情報」なり「価値」とは極めて実態を欠くものであり、両者の現実からの遊離が最高潮に達したのがバブル経済であった。 バブル経済は本キャッチコピーが世に出た数年後の、1980年代半ば頃から始まり1990年代初頭の株価急落を機に終焉を迎えるが、「〈情報〉を売る」という西武セゾングループが構築してきた方法論自体に、行き詰まりを迎えたのがバブル崩壊であったと宮沢は分析している。 事実、西武セゾングループはバブル崩壊と共にスタジオ200の活動休止(1991年)や西武美術館の閉館(1999年)、六本木WAVEの閉店(同)を余儀無くされ、同グループが牽引してきた文化事業が一部(セゾン文化財団)を除き雲散霧消してゆく。 西武セゾングループが直面したのは文化事業の撤退だけではない。本業の流通部門でも金融機関からの借入金に頼った拡大路線が大打撃を受け、堤清二は1991年に代表を辞任。西洋環境開発の清算をもって2001年には同グループの事実上の解散が決まり、「西武王国」崩壊が現実のものとなった。なお、堤は2013年11月25日、86歳で肝不全のため死去。
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