「国進民退」の実態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/08 15:15 UTC 版)
21世紀に入って、制度上、それまで順調に進んできた民営化の動きが停止し、「国有経済の堅持」という傾向が明らかになった。しかし、国有経済が実際に拡大したかは、統計数字によって見る必要がある。2004年と2008年にそれぞれ実施された経済センサスによると、国有経済(国有企業および国有支配企業)の企業数の割合は、2004年に8.1パーセントから2008年に4.4パーセントに減少している。従業員数の割合は、26.5パーセントから20パーセントへと減少している。国民経済の全体からみると「国進民退」は実際には拡大していない。ただし、産業分類を細かく見ると以下のことがいえる。上述センサスによると2004年と比較して、2008年の「国有企業および国有支配企業」は企業数にして4万3000社、従業員数にして32万人減少している。減少数の大きかった二大産業は「製造業」と「卸売り・小売り」産業であり、両者を合せて企業数にして4万5000社従業員数にして300万人の減少である。これらの産業の減少を打ち消すかのように、「電力、ガス、水の生産・供給」、「交通運輸・倉庫・郵便」、「情報通信・コンピューター」、「金融」、「不動産」、「リース・商業サービス」、「科学研究・技術サービス」、「水利・環境」、「教育」、「衛生・社会保障・社会福祉」の各産業がある。そのため特定産業においては、「国進民退」の実態があるといえる。国有企業の対外投資は民間企業を上回ったという報道もされている。また、株式市場では「国家隊」と呼ばれる政府系投資家が個人投資家を圧迫する「国進民退」も起きている。
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