「中国近世宗教倫理與商人精神」
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「余英時」の記事における「「中国近世宗教倫理與商人精神」」の解説
マックス・ウェーバーの主著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を意識して書かれた『中国近世宗教倫理與商人精神』(邦題『中国近世の宗教倫理と商人精神』森紀子訳、平凡社刊)によって知られる。余英時の立場は、文化大革命時期の中華人民共和国の経済史学者の間で起きた資本主義萌芽論争を机上の空論として退けるもので、ヨーロッパにおける資本主義とプロテスタンティズムとの関係が、明清時期に勃興した新安商人に代表される商人階層と、中国宗教としての三教との関係に比定できる、とした論である。しかも、唐宋の禅仏教に始まった天職的な倫理観が金元の道教である全真教にも及び、更に宋明の儒教、朱子学と陽明学に及んで完成されたとする点で、当時、注目され始めた儒教文化圏あるいは漢字文化圏に属する東アジア諸国の経済発展と儒教との関係に関する議論に影響を与えることとなった。但し、余英時自身は、飽くまで宋・元・明・清時代の宗教思想史と経済史との関連に限定して論を進めており、アヘン戦争以後の近現代にまで結びつけることは行なっていない。
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