喀血 喀血の概要

喀血

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/03/30 13:39 UTC 版)

喀血
ICD-10 R04.2
ICD-9 786.3
DiseasesDB 5578
MedlinePlus 003073
MeSH D006469

概要

喀血とは、気道出血のことである。すなわち、または気管支からの出血である。殆どが下行大動脈の分枝である、気管支動脈が形成する気管支動脈-肺動脈シャントに起因する出血である。通常を伴い、血は真っ赤で泡を含むことが多い。呼吸困難を伴うこともある。

混同されがちの言葉に吐血血痰がある。

吐血とは

喀血が気道出血であるのに対して、吐血は消化管出血である。吐血の場合、胃潰瘍などによるあるいは十二指腸からの出血で、血液が胃液による酸化を受けて黒色となる。コーヒーの滓に似ており「コーヒー残渣様」と表現される。但し、吐血でも肝硬変などに伴う食道静脈瘤からの出血は、胃液と接触しないため赤い。

喀血 吐血
出血状態 咳に伴う 嘔吐に伴う
性状 泡沫を伴う 食物残渣混入
pH(テステープ) 中性 酸性
随伴症状 胸痛、呼吸困難など 腹痛、嘔吐、嘔気、下血など

喀血を飲み込み、それを後に吐血することもあるため、両者の区別は時に難しいこともある。喀血と吐血の区別がつかない場合は、呼吸器と消化器の両方の精査が必要である。

血痰とは

に血液が混じる場合があるが、これは通常、喀血とは呼ばず血痰という。血痰と喀血は、どちらも気道出血を示す徴候であるため、血痰の原因は喀血と同様であるが、そのほかに、鼻血鼻腔から喉に落ちて排出される場合や、咽頭や喉頭の腫瘍からの出血などの耳鼻科的な問題であることもある。特に重要鑑別疾患は結核、肺がんである。喀血がおこる頻度は2008年現在、極めて少ないが、窒息のリスクがあるため、救急の対応は重要である。

喀血の原因

喀血の原因となる基礎疾患には、気管支拡張症・活動性肺結核・肺結核後遺症・肺アスペルギルス症・肺癌・特発性喀血症などがある。このうち特発性喀血症とは、特に背景となる基礎疾患を持たない喀血であり、胸部レントゲン・胸部CT気管支鏡などを実施しても出血以外の異常を指摘できない。そのほとんどは喫煙者である。特発性喀血症は医師の間ですら認知度が低いが、喀血専門医にとってはありふれた疾患である。

喀血は気道出血であるため、窒息(気管・気管支閉塞)による死亡につながることがある。気道閉塞を起こすリスクは大量喀血を起こしやすい疾患で顕著に高い。大量喀血とは24時間以内に100~600ml以上の血液を喀出する場合であり致死率は80%にも及ぶ。そのような高リスクな疾患としては気管支動脈の浸潤を認める肺癌や嚢胞線維症、動静脈奇形、遺伝性出血性毛細血管拡張症、骨髄移植後、特発性肺炎症候群(肺炎後の喀血)などが知られている。好中球減少症や血小板減少症でもリスクとなる。

マネジメント

喀血は窒息死の恐れもあり、必ず医療機関を受診すべきである。 まず行うべきことは気道確保といった全身管理である。気管内挿管を行う場合は後に気管支鏡を挿入するために太めのチューブで挿入することが望ましい。そして、出血源の肺を下とする側臥位の姿勢をとらせる。これは患側から健側へ血液が流入するのを防ぐためである。出血源の精査は胸部X線で行うことが多い。単純X線、CT(単純X線で病変があるのなら造影CTで行った方が後に、気管支鏡が行いやすくなる。)、気管支鏡といった流れで検査を行うことが多いが、前述のように吐血や耳鼻科疾患との鑑別が不十分であった場合はGIFなどをさらに追加する。結核が否定できなければ隔離の必要性も考慮する。

治療としてはまずは血管確保し、止血剤の点滴をする。ただし止血剤の点滴は一時的な対症療法であり、一旦止まっても再喀血の可能性が高い。根治療法としては気管支鏡下の止血術である。およそ5~10%の頻度で止血困難となる。その場合は血管内治療や開胸手術が検討される。近年、注目されているのが、超選択的気管支動脈塞栓術がある。これはカテーテルという血管造影用チューブを用いた局所麻酔下での治療であり、いわゆるカテーテルインターベンションの1種である。血管内治療を行った場合も塞栓後半年から一年で10~20%の頻度で再出血がおこるとされている。肺アスペルギルス症など、超選択的気管支動脈塞栓術の有効性が低い疾患については開胸手術が行われることもある。大量喀血の緊急手術は死亡率が20%とも言われており、非常に危険な状態である。




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