創価学会 中立的な立場

創価学会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 02:47 UTC 版)

中立的な立場

島田裕巳

宗教学者の島田裕巳は、「創価学会員が『広布即地域貢献』として団地自治会長や学校PTA、商店街役員などに積極的に就任し、それらの組織を『折伏の足場』にしようとしていると述べている[269]。一般の人は仕事などに追われてそれらの役員には就きたがらないが[269]、創価学会はそうした状況を利用して地域で主導権を握ろうとしている」と、分析している[269]。島田によれば、1950年代1960年代(昭和30年代から40年代)の高度経済成長期には、仕事を求めて故郷を離れて都会を目指し多数の青年たちが、大企業中心の総評などにすいあげられることもなく、未組織労働者・中小零細業者として孤立無援の生活を送らざるを得なかった人たちが、組織化されて、「民族」とも形容できる濃い人間関係ができあがっていった。この組織化が画期的であり、そこに創価学会の社会的な意義があったと主張する[270]

一方、「かつては他の宗教や宗派を一切認めない姿勢を持っており[155]、創価学会員の子弟は、修学旅行などで神社仏閣を訪れた場合には、神社鳥居寺院山門はくぐろうとしない」、財務の一か月程前には決起大会が開かれ、「100万円出したら息子がいい企業に就職できた。」「保険を解約して学会のために捧げたら幸せになりました。」などの発言が相次ぎ、他の会員にプレッシャーをかける[271]と指摘[272]。また創価学会には多額の寄進をした人間たちが少なくなく、島田の知人にも、創価学会に数千万円を寄進した例があるとした[273]

謗法払い」といって以前信仰していた時の仏壇や神棚を焼却させていた事例があったことや[6]モアハウス大学キング国際チャペルの主催により世界各地で「ガンジー・キング・イケダ展」が開かれていることに関し「世界的に高く評価されているガンジーキング牧師に対してイケダに二人に匹敵するだけの功績があるか疑問に思う人は少なくないであろう」と批判した[274]

公明党については「公明党は自民党と連立与党を組んでから政策面で必ずしも独自性を打ち出すことができず、結局、自民党の政策を追認しているだけに終わっていることが少なくなく、特に安全保障政策で公明党が党是とする平和主義の貫徹が妨げられていることから、創価学会内部で公明党に対する批判が潜在化している」としている[275]

「自民党内にも創価学会=公明党の発言力が強まることを警戒する人間はいることから、自民党内部において創価学会=公明党への批判が高まれば創価学会=公明党としては民主党と連立を組む可能性が出てくる[276]。そうなれば創価学会=公明党は動物と鳥の両方に取り入ろうとして結局はどちらからも嫌われ、暗い洞窟に追いやられたイソップ物語のコウモリになる危険がある」とも発言している[276]

その他

  • 西山茂(宗教社会学者・東洋大学名誉教授) - 日蓮仏教にとっての創価学会の功罪について、第一の「功」は、相手が権力を持った官憲であれ、伝統的な宗教習俗を信じる庶民に対してであれ、「謗法」厳戒の姿勢を取った「伝統突破」(折伏というブレイク・スルー)の力にあるとする。第二の「功」は、「本門戒壇」の建立を、戦後日本社会の中で具体的に運動化したことだとする。一方で、「罪」は「功」の裏の部分に当たり、第一の「罪」として、他宗教への悪口雑言や暴力的な神棚撤去等の深刻的な人権問題を引き起こしたこと、第二の「罪」として、会則改正等の転進の際に過去を総括せず、過去と現在の教団の自語相違に一向に無頓着であり、信頼できない点を挙げている[277]
  • 島薗進(宗教学者・東京大学名誉教授) - 創価学会の特徴として「現世中心主義」を挙げており、「世界的に見ても、庶民がその実現に参与できる現世での幸せを焦点とした仏教として創価学会は目立った例」としている。[278]一方、その排他主義的かつ自己完結的な教義体系のゆえに、強力な集団的統合が実現しており、指導者の指示のもと、一元的な意思の一致が前提とされ、自由な問いや討論が封じられる傾向があるとしている。また、上位者の権威への従順が宗教的指導の範囲を超えており、統制された集団生活の枠組みが日常生活のすみずみの領域にまで及んでいるため、個人の自由に任される領域が縮小する傾向があるとしている。とくに池田名誉会長崇拝にはそうした傾向が強く、このような個人の自立の抑制が「師弟不二」「異体同心」などの強調により正当化されている、と分析している[279]
    新宗教を「隔離型」「個人参加型」「中間型」の3つに類型化しており、創価学会を「中間型の中に含めて差し支えないだろう。」としている。[280]
  • 宮台真司(社会学者) - ウェブマガジンのインタビューで、「東日本大震災東北地方太平洋沖地震)の被災地における、個人で支え合う人間関係・つながりを持っている者と持たない者の格差を見せつけられた」と述べた上で、「創価学会の避難所は物も潤沢だし、配給物資も公平に、順当にシェアできるしくみがある。だから取り合いになったり、殺伐とした対立なども起こりえない。それは教会などのコミュニティと同じで、たとえば欧米などはハリケーン津波で被災しても行政や自治体は動かない。救援物資のディストリビューション(配給)をやるのは、教会なんです。」と発言。教会的なコミュニティーが果たす役割に言及し、その例として創価学会をあげた[281]。一方で公明党・創価学会を「都市宗教的マッチポンプ」と呼び、新自由主義と貧困を増幅して疎外される人々を増やし、信者を増やしていると批判している[282]
  • 八幡和郎(評論家、歴史作家)-「もし創価学会が過度な負担を強いるような宗教なら、数百万世帯もの信者を獲得することも維持することもありえないということであろう。(中略)ここではさらに、商品販売にたとえて論じてみたい。宗教と商品の販売を一緒にするのもなんだが、似たところもある。つまり、創価学会はトヨタやパナソニックと同じように、顧客満足度が高いからこそ日本一の宗教団体なのである。」と述べている[283]







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