ミツバ ミツバの概要

ミツバ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/26 20:16 UTC 版)

ミツバ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: ミツバ属 Cryptotaenia [1][2]
: C. japonica
亜種 : ミツバ C. japonica subsp. japonica [3]
学名
Cryptotaenia canadensis (L.) DC.
subsp. japonica (Hassk.) Hand.-Mazz. (1933)[3][4]
シノニム
和名
ミツバ、ミツバゼリ
英名
Japanese honeywort
Japanese parsley[8]
Mitsuba[8]
honewort[9]
wild-chervil[9]

特徴

日本原産[8]北海道から沖縄までの日本各地、及び中国朝鮮半島サハリン南千島等の東アジアに広く分布し[11]、平地から高山にかけて、日陰地や湿り気のある野原、谷間、川岸などに群生する[10][12]。日本には古来から自生している野菜で、1本の茎に3枚の葉がついていることから「三つ葉」の名がつく[13]

草丈は30 - 50センチメートル (cm) ほどになる[10]。葉は根の近くから曲がって横に張りだして互生し、長い柄の先に3枚の小葉からなる複葉をつける[10][12]葉身の形状は卵形で先が細くなって尖り、葉縁にはギザギザとした重鋸歯がある[12]。全体にさわやかな香気を有する[9]

花期は夏(6 - 8月ごろ)で、花茎を伸ばして5枚の花弁からなる白い小さなを咲かせる[10]。花後は楕円形の果実をつける[10]

日本では栽培されたものがほぼ一年中店頭に並ぶ、ポピュラーな野菜となっている[10]

種類

市場に流通するミツバは、野生ミツバを栽培方法の違いによって3種類に改良したもので[8]、大別すると、畑などで育つ「根三つ葉」と、水耕栽培される「糸三つ葉」、灰汁が少ない「切り三つ葉」がある。元の品種に違いはなく、栽培方法によって葉や茎の見た目、香りの強さに違いを出している[8]

  • 根三つ葉(根ミツバ) - 旬は春で、根をつけたまま出荷されるもので、最も野生種に近く、他の三つ葉よりも香りや風味が強くて栄養価も高く、歯触りがしっかりしているのが特徴。芽を土寄せして軟化栽培しているので、根元だけが白い[8]。一般の青菜のような使い方ができ、お浸し、吸い物、卵とじ、揚げ物、炒め物に向く[14][8]。シャキシャキした歯触りが関東で好まれる[9]
  • 糸三つ葉(糸ミツバ) - 根にスポンジがついて水耕栽培されるミツバで、通年市場に出回る。密植して茎を細く育てている[8]。栄養価が高く、食感と香りは根三つ葉と切り三つ葉の中間くらいで、用途は丼物や吸い物など広く使われる[14]。主に関西で使われている[8]。茎が緑色で、別名「青ミツバ」ともよばれる[8]
  • 切り三つ葉(切りミツバ) - 旬は冬で、葉の緑色が薄く、茎が細くて白く、香りが穏やかで、葉も茎ともやわらかく口当たりがよいのが特徴。軟化栽培で根を切り取っているため、茎全体が白い[8]。茶碗蒸しや吸い物の彩りに適している[14]。関東を中心に雑煮にも使われる[8]

  1. ^ 米倉浩司『高等植物分類表』(重版)北隆館、2010年。ISBN 978-4-8326-0838-2 
  2. ^ 大場秀章(編著)『植物分類表』(第2刷)アボック社、2010年。ISBN 978-4-900358-61-4 
  3. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cryptotaenia canadensis (L.) DC. subsp. japonica (Hassk.) Hand.-Mazz.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2012年7月29日閲覧。
  4. ^ "'Cryptotaenia canadensis subsp. japonica (Hassk.) Hand.-Mazz.". Tropicos. Missouri Botanical Garden. 1704252. 2012年7月29日閲覧
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cryptotaenia japonica Hassk. ミツバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月20日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cryptotaenia canadensis auct. non (L.) DC. ミツバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月20日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cryptotaenia canadensis (L.) DC. var. japonica (Hassk.) Makino ミツバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月20日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 170.
  9. ^ a b c d e f 講談社編 2013, p. 22.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 23.
  11. ^ 山岸 喬『北海道 薬草図鑑 野生編』北海道新聞社、1992年。ISBN 4-89363-662-6 
  12. ^ a b c d e 金田初代 2010, p. 36.
  13. ^ a b c d e f g h i j k 主婦の友社編 2011, p. 134.
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 主婦の友社編 2011, p. 135.
  15. ^ 栽培および野生ミツバの形態ならびに生態に関する研究 園芸學會雜誌 Vol.33 (1964) No.2 P117-124
  16. ^ a b c 三つ葉 産地(都道府県)”. ジャパンクロップス. アプレス. 2022年2月12日閲覧。
  17. ^ a b 三つ葉 農業”. ジャパンクロップス. アプレス. 2022年2月12日閲覧。
  18. ^ 三つ葉 産地(市町村)”. ジャパンクロップス. アプレス. 2022年2月12日閲覧。
  19. ^ 文部科学省日本食品標準成分表2020年版(八訂)


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