無垢の巨人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 06:59 UTC 版)
「進撃の巨人の登場人物」の記事における「無垢の巨人」の解説
無知性巨人の総称。ユミルの民が巨人の脊髄液を注射、もしくは経口摂取すると雷及び爆風と共に巨人化する。この状態で九つの巨人の継承者を補食すると、人間の姿に戻り、九つの巨人の力を継承する。荒木哲郎、梶裕貴、石川由依、Creepy Nutsなど実在の人物をモデルとしたものも登場している。 ダイナ巨人体 シガンシナ区の壁が破壊されたときに侵入してきた巨人の内の一体。常に不気味な笑みを浮かべている。エレンの目の前でカルラを殺害・捕食し、エレンに巨人への激しい憎しみと復讐心を持たせる原因となった。 エレン奪還作戦の時にエレンとミカサの前に再び現れ、仇討ちに燃えるハンネスを無惨に食い殺すが、エレンが発動した「座標」の力で操られた周囲の巨人達に貪り食われて死亡した。超大型巨人を除き最初にはっきりと顔が確認できている巨人でもある。 グリシャの手記、グリシャの記憶を受け継いだエレンの記憶から、グリシャの前妻であるダイナが「楽園送り」により巨人化した姿であることが判明する。 マーレ編のライナーの回想でも登場し、845年のシガンシナ区侵攻では最初にシガンシナ区へ侵入する。超大型巨人として門を蹴り破った直後、人間体に戻ったばかりで動きの取れないベルトルトの目前に現れてベルトルトを恐怖に陥れるが、一瞥をくれるもなぜか無視してシガンシナ区へ入っていった。これは、「始祖の巨人」の「過去から未来にわたる記憶」を承継したエレンが、「自らの知る歴史」を維持するために「座標」の力で介入し行動を操ったことが後に判明する。 覗き込む巨人 トロスト区の壁が破壊されたときに侵入してきた巨人の内の一体。黒目部分に光の反射が描かれるほど大きい目が特徴。その名の通り、人間に襲い掛かる前に顔を覗き込むような動作を取る描写がよく見られた。 トロスト区防衛戦にてミーナを捕食後、他の巨人と共に本部に群がって兵士らの補給を滞らせる原因となっていた。アルミンの策で背後を晒したところをサシャが攻撃するも仕留め損ね、援護に入ったミカサの追撃でうなじを切られ死亡した。 後に、グリシャの記憶を受け継いだエレンの記憶から、「楽園送り」により巨人化させられたエルディア復権派メンバーの一人であったことが判明する。 グリシャの記憶の回想では、グロスによってグリシャを多少抵抗させて食わせる(グロスの性癖から)ために最後に3~4m級のサイズに巨人化させられたが、皮肉にもクルーガーに裏切られたグロス本人を捕食して死に至らしめた。 ソニーとビーン 声 - 大隈健太(ソニー) トロスト区奪還戦で調査兵団が捕獲した2体の巨人。ハンジに名付けられた4メートル級がソニー、7メートル級がビーン。巨人の身体構造や個体差の解明のため、厳重な拘束下でハンジが研究する被験体として扱われるが、アニとライナーによって二体とも殺害され、情報収集は不十分なまま終わってしまった(調査兵団は共犯を特定できていない)。 実験の結果判明した双方の特徴としては、ソニーは内向的で痛みに鈍く、日光が遮断されると1時間程で活動が停止したのに対し、ビーンはソニーと比較すると痛みに過敏で日光を遮断されても3時間活動を続けた。 アニメ版ではハンジにより、かつて多くの人間を殺して食べた盗賊集団の頭目の1人の名前が由来として語られている(伝説上の人物であるソニー・ビーンを参照)。これ以前に捕獲した巨人被験体(研究実験が行きすぎて既に死亡している)の名前は「アルベルト」「チカチーロ」だったとも語られている。 コニーの母の巨人体 ラガコ村でコニーの生家に横たわっていた巨人。手足が極端に細く自力では起き上がれない。にもかかわらず、なぜかラガコ村にいた。また、引き上げる際のコニーに向かって、「オアエリ(お帰り)」と言葉を発した。 残されていた肖像画から調査兵団によってコニーの母親と断定され、マーレ編でのジークの発言により、マーレ軍にジークの脊髄液を含んだガスを散布されたことによって他の村人達とともに巨人化したことが判明。しかし、元から足が不自由だったため不完全な肉体になってその場から動けなかったものと思われる。 なお、その他の村人の巨人に関しては人間を捕食するだけの巨人と大差なかったが、獣の巨人の命令に従う、月の光があれば夜間でも活動できる、といった通常の巨人にはない特徴が見られた。中には他の巨人を押し倒し、耳を引き千切るといった行動を見せるものもいた。 イルゼが遭遇した巨人 森に逃げ込んだイルゼが遭遇した巨人。接触してもイルゼを襲わず、「ユミルさま」「よくぞ」といった言葉を発し、ひれ伏して恭順の姿勢を示す。イルゼの問いにはすべて沈黙で答えたが、自らの存在を罵倒されたところ突如興奮し、目の周りの肉を引きちぎる自傷行為におよんだ挙句イルゼを捕食した。この記録はイルゼのノートに詳細に記されている。 OVA「イルゼの手帳」ではこの巨人のその後が描かれた。調査兵団であるリヴァイやハンジと遭遇するも、突如方向転換して謎の花畑へと向かい、最奥部の木に頭を打ち付けるなど奇怪な行動を見せる。直後ハンジやオルオに襲い掛かり、最終的にオルオを捕食しようとするも、リヴァイにうなじを切り取られて死亡した。討伐後、彼の遺体の側にイルゼの遺体が「埋葬」されていたことが分かり、この巨人の謎をエルヴィンにハンジが伝えたことで、ハンジ立案による巨人捕獲作戦を通すきっかけとなった。 その正体はかつてユミルを教祖としたカルト教団の信者。ユミルや他の信者共々「楽園送り」にされる。 エレン巨人体 エレン・イェーガーがグリシャによって巨人化の薬を注射されたことで巨人化した姿。眼球を大きく見開いた、後の進撃の巨人としての姿とは大きく印象の異なる容姿を持つが、唇がないため歯が露出した口部と上顎下顎共に下部にずれた前歯、やや尖った耳など進撃の巨人としての姿と共通する外見的特徴も見られる。この姿になった直後にグリシャを捕食、始祖と進撃の巨人を継承し、以降の巨人体は前述の進撃の巨人のものとなった。 ロッド巨人体 レイス家当主、ロッド・レイスが巨人化の薬を経口摂取して巨人化した姿。知性を持たない無垢の巨人の奇行種。本来はロッドがクリスタのために用意したもので、ロッドいわく「最も戦いに向いた巨人」とのこと。 超大型巨人の倍以上の120mという無垢の巨人の中では史上最大の巨体を誇るが、異常に大きい胴体と細い手足を持つ奇形で、移動する際は自力では立てないのか、顔や体の前面を地面にこすりつけ、這いずるように移動する。このため、ウォール・シーナ北側の壁に到達する頃には、壁を支えに立ち上がったが、胴体が削れ内臓が完全に露出、顔も削れて口や鼻の穴が開いているのみであった。他の巨人とは比べ物にならない高温の蒸気を常に発しており、生身の人間や樹木などは近づいただけで燃えてしまう。また、その壮絶な超重巨体のパワーと質量故に、壁本体をそのまま破壊して突破することも可能とされた。より遠くの集団を優先して狙う傾向が強く、奇行種としても習性が極端であり、目前の兵団や周囲の村落には目もくれず、遠く離れた壁内部の市街地目掛けて突き進むほどの執着を見せた。 ウォール・シーナ北側の城壁都市オルブド区の住人に引き寄せられ同地を襲撃。駐屯兵団による迎撃をものともせずに壁に取り付くが、直後にリヴァイ班によって火薬で両手首を爆破され、バランスを崩したところを巨人化したエレンによって口の中に爆薬を詰めこまれて頭部を破壊され、空中で飛び散った肉片のなかに紛れていた弱点のうなじをヒストリアの手で斬り裂かれて本体のロッドは死亡した。作中では顔面が完全に削られて失われていたため本来の顔は不明だったが、デザイン画の時点では顔が削れてない姿も考えていたらしく、ロッドに似ているとのこと。 アルミン巨人体 アルミン・アルレルトの巨人体。リヴァイに託されていた、巨人化の薬によって巨人化した無垢の巨人。 ウォール・マリア最終奪還作戦にてリヴァイが瀕死の重傷を負ったエルヴィンかアルミンのどちらに投与するかエレンと揉めた後にアルミンに投与され、その後ベルトルトを捕食して人間に戻った。同時にアルミンは超大型巨人を継承した。 ファルコ巨人体 ファルコ・グライスの巨人体。ニコロにワイン瓶で殴られた際、ワインに含まれたジークの脊髄液を摂取し、ジークの「叫び」で巨人化した無垢の巨人。 マーレ軍のパラディ島奇襲の時に巨人化、ジークに操られるまま鎧の巨人に襲い掛かるが、身代わりになったポルコを捕食して「顎の巨人」を継承、人間に戻った。 なお、ファルコ以外にもジーク達の陰謀でピクシスやナイルを筆頭とした兵団上層部の大半が脊髄液入りワインを飲んでしまい、ジークの「叫び」によって全員巨人化した。 幻の巨人 ウォール・シーナの壁の中身に埋没する巨人。女型の巨人が逃亡する際の破損箇所から、垣間見えた顔の一部によって存在を知られた。しかも近くにいたミカサの方へ視線を向けたことから生きていることが窺える。顔の右半分のみ現れている。その顔は超大型巨人のように皮膚が存在せず歯がむき出しとなって並んでいる。壁の中にいる限り永久に眠り続けるが、壁が破損し光に当たると目覚める恐れがある。 状況を察知したニック司祭の指示により、目地材による応急的な修復が壁になされて即座に姿を隠された。このことから、壁は幾千万もの巨人が基盤となって建築されていることがわかった。 壁の中の幾千万の超大型巨人 初代レイス王が硬質化の力を使用して築いたマリア・ローゼ・シーナの3つの壁を構成する幾千万もの超大型巨人。世界からの干渉の抑止力として存在するが、レイス王の「不戦の契」によって封印されていた。しかし「始祖ユミル」を掌握したエレンによって百年の眠りから目覚め、世界のすべてを踏み潰す「地鳴らし」を開始する。
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