多極化とは? わかりやすく解説

たきょく‐か〔‐クワ〕【多極化】


多極化

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多極体制

(多極化 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/25 15:41 UTC 版)

多極体制(たきょくたいせい、: Multipolar System)、もしくは多極化(たきょくか、: Multipolarization)とは、複数の国家もしくはグループ[注 1]世界に影響を与えている国際社会を指す[1]

歴史

第二次世界大戦以前

1898年当時の帝国主義列強勢力図

多極体制の起源は19世紀末期から20世紀初期の帝国主義植民地主義時代に求めることができる。当時は数多く列強がしのぎを削り、それぞれの国で複雑な対立・同盟関係を形成していた。しかし、第一次世界大戦で帝国主義国家・植民地主義国家の衰退が始まり、第二次世界大戦で帝国主義・植民地主義時代は終結した。

1945年に第二次世界大戦が終わると、世界は資本主義を名目とするアメリカ合衆国と、社会主義を名目とするソビエト連邦の2か国が覇権を握る両極体制へと移行した。両極体制において、小国は2つの超大国のいずれかから援助を受ける外交を展開していた。しかし、1991年ソビエト連邦は崩壊。これ以後2000年代にかけて、唯一の超大国であるアメリカ合衆国による一極体制が続くことになる。

9.11テロと一極体制の衰退

ソビエト連邦が崩壊し、1992年からはアメリカ合衆国の一極体制(パクス・アメリカーナ)の時代が始まった。しかし、2001年9月11日に起こったイスラム過激派によるアメリカ同時多発テロ事件を引き金として、アメリカの一極体制に陰りが見え始める。2000年代後半に入るとロシア連邦中華人民共和国イランなど、アメリカによる一極体制を否定する大国が現れ始める。ロシアは「冷戦の敗戦国」であったが、豊富な天然資源で景気が好転し、特に9.11テロ以後は冷戦時代の復活を夢見て21世紀の世界における新たな極になろうとしており、「アメリカ合衆国による一極支配は受け入れられない」「世界は多極的であるべきだ」とアメリカを批判している。

リーマンショックと無極化

世界各国の軍事的な勢力図
青色は北大西洋条約機構加盟国
水色は上海協力機構及び集団安全保障条約加盟国
緑色はアフリカ連合加盟国
赤色は南米防衛評議会

アメリカ合衆国も一極体制が原因で2007年から2010年にかけて世界同時不況を惹き起こしており、ロシアや中国、イランを初めとする反米国家から大きな批判を浴びている。そして、世界同時不況を象徴する2008年9月15日のリーマン・クライシス、列びに同年11月14日の第1回G20首脳会議によって、アメリカの一極体制の時代は終わることになった。2008年以後の多極体制の象徴とされたG20を嚆矢にして、アメリカ合衆国と共にEU中国インドラテンアメリカ諸国・ロシア中東諸国などが世界経済を牽引してゆく状況になっている。

アメリカ合衆国は「世界の警察」として、強大な発言力と軍事力を誇っていた。しかし中国やロシア、イランの国力増大や、ラテンアメリカの「脱アメリカ」志向は、アメリカの一極体制を脅かしつつある。2014年3月18日、ロシアが軍事力を背景にクリミアの編入[注 2]を強行した事について、専門家からはアメリカ合衆国の力が弱まり、世界の多極化が進んでいることが指摘されている。ただ、2014年時点の世界は「多極体制」ではなく、「無極体制」であるとする向きもあり、地球上からどこにも絶対的な力を持つ国家(ヘゲモニー)が無くなっていることで世界の流動化、不安定化、いわばカオス化が進んでいるという見方もあった。

BRICSおよびGSと多極化

BRICSと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成する5か国は、多極化する世界でリーダーシップの発揮を目指すとし、欧米の大国(G7)に対抗する姿勢を示している[2]。2024年1月にはエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦の4か国が正式に加盟国となり、BRICSは9か国体制となった。これにより習近平国家主席が狙う「アメリカ一極体制から多極化へ」の地殻変動が、実現に向けて深まりを見せている[3]

2022年ロシアのウクライナ侵攻以後、多極化する世界で影響力を強めてグローバルサウスなどの第3国を陣営に取り込もうとするせめぎ合いが、欧米日(G7)と中露(BRICS)間で激しさを増しており、競合する複数の陣営から成る『多極化した世界』が訪れようとしている[4]

脚注

注釈

  1. ^ 例えばG7BRICSなど。
  2. ^ 詳細は「ロシアによるクリミアの併合」を参照。

出典

関連項目


多極化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 01:32 UTC 版)

国際金融市場」の記事における「多極化」の解説

金融市場ランキング 順位 都市 1 ニューヨーク 2 ロンドン 3 香港 4 上海 5 ロサンゼルス 6 シンガポール 7 サンフランシスコ 8 北京 9 東京 10 深圳 国際金融センター指数(2022年3月発表) 1950年代より、アメリカ合衆国国際収支継続的に赤字になり、世界過剰なドルまき散らすことになった。この過剰なドルによって、アメリカには世界中のモノ・サービスが集まりアメリカ空前の「インフレ悲哀」を味わうことになったまた、アメリカベトナム戦争軍事介入したことによって、アメリカ戦費増大しアメリカ財政赤字はますます悪化していった。このままいくと、アメリカドル防衛難しくなるドル防衛出来なければ金の国流出はさらに続いていく。これは、超大国アメリカ危機である。 1971年8月、ついにアメリカは、金とアメリカ・ドルとの交換停止を突然、世界向けて発表した詳細は「ニクソン・ショック」を参照)。そして、アメリカ・ドル固定為替相場制から変動為替相場制へと変更され、これ以後アメリカ・ドル為替レート市場需給によって決まるようになったアメリカのこの電撃発表世界の国金融市場大きな衝撃与えた欧州市場であるフランクフルト・チューリヒ・パリ・アムステルダムでは、新しい形国際金融取引が行われるようになった。その国際金融取引にはドイツ銀行BNPパリバABNアムロなどが参加し、「ユーロダラー市場」が誕生した。 またアメリカ対外投融資規制多国籍企業活動あいまってユーロ債市場」も出現した通信・情報処理用インフラグローバル化により、国際金融市場国境制約超えたものとなったのであるビッグバンではイギリスロンドンが「ユーロダラー市場」の中心地となったパリフランクフルトにも活発なユーロカレンシー市場」が誕生したドル金融ロンドン奪われそうになっていたアメリカは、非居住者間の金融取引租税為替管理上の特典与えている「オフショア市場」として、1981年ニューヨーク国際金融ファシリティ設立した。「オフショア金融センター」については、まずタックス・ヘイヴンとしてバハマ・ケイマン諸島・パナマ・バーレーンなどが、また「アジアダラー市場」としてシンガポール香港が、それぞれ急速に発展してきた。1986年12月、「東京オフショア市場」も創設された。 21世紀初頭市場大きなウェイト占めた金融派生商品については、1972年シカゴ商業取引所通貨先物取引開始され1975年にはシカゴ商品取引所初め金利先物上場された。 その後1982年シカゴ商業取引所株価指数先物株価指数先物オプションシカゴ商品取引所債券先物オプション導入された。店頭取引として通貨スワップ金利先渡取引が行われた。こうしたデリバティブ取引」は、1982年イギリスロンドン国際金融先物取引所1984年シンガポールシンガポール国際金融取引所1989年日本の東京金先物取引所(現:東京金融取引所)、1985年日本の東京証取引所をはじめ、世界各地取引所誕生したこのような1980年代から世界全体経常収支100ドル単位赤字計上するようになった1990年代に入ると、これらの取引所では電子端末入力による付合せ方式価格決定されその後コンピューター・システムが各取引所本格的に導入されるようになったまた、インターネットをはじめとしたIT技術発展は、各取引所処理能力大幅に増やし世界中多く情報ニュース記事瞬時取引所価格反映されるようになったまた、ネット証券誕生により、市場垣根低くなり、市場参加する個人投資家たちもますます増えていった。従来世界の金融市場大きな影響持っていたヘッジファンドも、複雑な価格変動動き読みにくくなり、大きな損失を出すところも出てきた。ロングターム・キャピタル・マネジメント破綻は、その好例である。 21世紀初頭新自由主義席巻海底ケーブル充実背景国際金融市場の多極化はますます加速した世界金融危機の陰で仮想通貨ビットコイン新たに登場しマウントゴックスデフォルト機にさまざまな欠陥指摘された。しかしブロックチェーンだけは宣伝開発推進されている。ブロックチェーン利用したスマートコントラクトは、国際金融市場という金融インフラそのものを、スマートフォンモノのインターネットレベルにまで分解・多極化させようとしている。

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「多極化」を含む「国際金融市場」の記事については、「国際金融市場」の概要を参照ください。

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