領域 (国家)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/06 09:16 UTC 版)
領域(りょういき)は、国家の主権下にある区域[1]。国家領域(こっかりょういき)ともいわれる[1]。国家の3要素の1つで、領土・領水・領空からなる[1]。これらのうち最も基本のものは領土で、単に領域が領土を指す場合もある[1]。天然資源の開発などについて主権的権利が及ぶ大陸棚や排他的経済水域は領域に準ずるものではあるが[1]、こうした主権的権利は主権に付随して認められる権利で、主権そのものでない[2]。
- 1 領域 (国家)とは
- 2 領域 (国家)の概要
- 3 外部リンク
国家領域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 06:16 UTC 版)
「国家領域」(le territoire national)は、領土、領海、領空に分けられる。特に領土は、「人民」、「外交を行う能力」とともに国家を構成する基本的要素である。国家領域では、国家はその管轄権を排他的に行使ししうる。ただし、他国の主権も尊重しなければならない。 領土とは、一般にその自国民が住んでいる地理的領域をいい、地面および地下が含まれる。人が住んでいない領域(無人島など)もこれに含まれうる。領土の取得及び喪失については、「無主地」(terra nullius)に対する「先占」は国際法上、認められている領土取得の方式である。「パルマス島事件」仲裁判決で、マックス・フーバー裁判官は「継続的で平和的な領域主権の表示は権原の一つとして適切である」と判示した(U.N.R.I.A.A., Vol.II, p.839)。「西サハラ」に関しては、国際司法裁判所はその勧告的意見で、スペインの植民地であった西サハラには社会的にかつ政治的に組織された人々が民族としてそれを代表する長の権力の下に住んでいたのであり、無主地とはみなされない、と判示した(C.I.J.Recueil 1975, p.39, par.81)。今日では、無主地は存在しないとされる(南極大陸については、国際化領域の項を参照)。また、現在では、武力行使による領土取得は禁じられている。これに関して、イスラエルによるパレスチナの占領について、国連安保理決議242は、イスラエル軍の占領地からの(英:from occupied territories(無冠詞), 仏:des[de+les] territoires occupés(定冠詞))撤退の原則を確認し(affirms)、決議338では、決議242の履行を求める(calls upon)となっており、英語テキストに従う限りにおいて、必ずしもイスラエル軍が第三次中東戦争で占領した全ての領土からの撤退を義務づけていないと解する余地がある。この問題は、宗教的、政治的性質が濃い。 領海とは、今日では国連海洋法条約により、領土の基線より12海里を超えない範囲で沿岸国が決めることができる(海洋法の項目も参照)。領海には、沿岸国の主権が及ぶが他国の船舶の「無害通航権」(le droit de passage inoffensif)を認めなければならない。無害通航とは、「沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない」ものをいう(19条)。違反する船舶に対しては、警察権を行使しうる(27条5項)。ただし、他国の軍艦および非商業目的で航行する政府船舶には「免除」が与えられる(32条)。 領空とは、領土及び領海の上空に接している大気圏の領域をいう。空域を規律する国際法は、「空法」(Droit aérien)と呼ばれる。空法は、1944年の「国際民間航空条約」(シカゴ条約)を基本とする。シカゴ条約は、1条で「各国がその領域上の空間において完全かつ排他的な主権を有する」としている。どの高さまで領空と認められるかは、条約上、明らかではない。また、領海における「無害通行権」と類似して、「五つの自由」が認められており、1919年のパリ条約では、(1)無着陸の通過の自由、(2)運輸以外の目的での着陸の自由が認められ、さらに「国際航空協定」1条では、これらに加えて、(3)自国領域内で積み込んだ貨客を他の締約国でおろす自由、(4)他の締約国で自国向けの貨客を積み込む自由、(5)第三国向けあるいは第三国からの運送の自由が認められている。ただし、これらの自由は、慣習法ではなく、厳格に条約的である。(今日の状況は、制限的な二国間協定の下に保護される航空企業間の「オープンスカイ協定」が空を網の目のように張りめぐらされている。)また、シカゴ条約に基づき、「国際民間航空機関」(ICAO)が設立されている。これは、総会や理事会、航空委員会などの固有の機関を有し、空の安全と発展を目的として活動している。2007年12月にEU理事会は、温暖化ガスの排出権取引を国際民間航空にまで拡張することを決定しており、米国はこれに反対している。2007年9月のモントリオールでのICAO総会では、当事国の合意がない限り排出権取引制度は適用されない旨、決議がなされているが、EUはこれに拘束されないとしている(A.J.I.L., Vol.102, 2008, pp.171-173)。
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