中核概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 10:09 UTC 版)
「ジェファーソン流民主主義」の記事における「中核概念」の解説
ジェファーソン流民主主義は下記のような中核概念で表現される。これらはジェファーソンとその追随者が書物、演説および立法で表現したものである。「ジェファーソン流民主主義」という言葉は包括的なものであり、命題によっては特定の政治姿勢を好む派閥があった。実際に政策立案の過程で異なる原則が衝突することもあった。さらに1812年に始まった米英戦争で如何に戦うべきかなど新しい問題に直面したときに、その観点が修正されることもあった。この戦争では弱い中央政府と、出身州を離れようとしない民兵の問題が浮き上がった。 アメリカ合衆国の中核的政治価値は共和制である。民衆は市民として国を助ける義務があり、政治的腐敗特に専制政治や貴族政治に抵抗する義務もある。 ジェファーソン流民主主義の価値観は組織化された政党を通じて最も良く表される。その党は公式には「共和党」である(歴史家は後に民主共和党と呼んだ)。 選挙に投票するのは市民の義務である。共和党は投票を促すための当時として斬新な選挙運動戦術を多く発明した。実際に投票率は国中で上昇した。ペンシルベニア州におけるジェファーソンの代理人ジョン・J・ベックレーの仕事が1790年代に新しい標準を設定していた。1796年大統領選挙では、15人の選挙人すべての名前を手書きで書いた投票用紙3万枚を州内のエージェントに渡して統括した(当時印刷された投票用紙は認められていなかった)。歴史家はベックレーのことをアメリカ初期の専門的選挙参謀の一人と見なしており、その戦術は他州でも直ぐに採用された。 連邦党、特にその指導者のアレクサンダー・ハミルトンを、貴族制やイギリスの政治モデルを受け容れる者として、究極の敵にした。 ヨーマンが市民の美徳を最も良く体現するものであり、腐敗しがちな都市の影響力を受けにくいものとされ、政府の政策はヨーマンの利益につながるべきとされた。金融家、銀行家および工場経営者は都市を「腐敗の巣窟」にするので、避けるべきであると考えた。 中央政府は大衆、民族あるいは地域社会の共通利益、保護、および安全保障のために作られる危険な必要性である。密接に監視し、その権力を制限されるべきである。1787年から1788年に最も急進的な反連邦党の者達がジェファーソン派に加わった。 政教分離原則は、政府を宗教的論争から解放させておき、宗教を政治的腐敗から無縁にさせておく最良の方法である。 連邦政府は個人の権利を侵害してはならない。権利章典が中心テーマである。 連邦政府は州の権限を侵犯してはならない。1798年のケンタッキー州およびバージニア州決議(ジェファーソンとマディソンによって起草された)はこの原則を宣言したものである。 言論の自由と報道の自由は、人民の政府による人民に対する圧政を防止する最良の手段である。1798年の外国人・治安諸法によって連邦党がこれらの自由を侵害したことが大きな問題となった。 アメリカ合衆国憲法は人民の自由を保障するために書かれた。しかし、いかなる社会も永遠の制度あるいは永遠の法とは成り得ない。地球は常に生きている世代に属している。 全ての人は情報を与えられ、それによって政府で発言する権利を与えられている。人の自由の保護と拡大はジェファーソン流民主主義の1つの主要目標である。我々はまた教育の尊敬されるべき仕組みも改良した。我々は人々の生活環境あるいは状態に拘わらず、人々が教育を受ける権利があると信じる。 司法府は選挙で選ばれた政府の各府に従属であるべきであり、最高裁判所は議会で成立した法を無効にする権限を持つべきではない。ジェファーソン流民主主義は、最高裁判所を1801年からその死の1835年まで支配した連邦主義者ジョン・マーシャルとの闘争では敗北した。 ジェファーソン流民主主義にははっきりとした「外交政策」もあった。アメリカ人はジェファーソンの言う「自由の帝国」を世界に広げる義務があるが、しがらみとなる他国との同盟は避けるべきである。 イギリスは最大の脅威であり、特に君主政治、貴族政治、腐敗および事業の方法が危険である。1794年のジェイ条約はあまりにイギリスに肩入れし過ぎており、アメリカの価値観にとって脅威である。 フランスは、少なくともフランス革命の初期段階では、ヨーロッパの理想的な国だった。マイケル・ハートに拠れば、「ジェファーソンがフランス革命を支持したことは、その心の中でイギリスの君主制に対する共和制の防衛として映ることが多かった。」としている。一方ナポレオン・ボナパルトは共和制のアンチテーゼであり、支持できなかった。 ルイジアナとミシシッピ川はアメリカの国益にとって重要である。(弱い)スペインの支配ならば寛恕できる。フランスの支配は受け容れられない(ルイジアナ買収)。 常備の陸軍と海軍は自由にとって危険であり、避けるべきである。通商禁止のような経済制裁には有効である(1807年通商禁止令)。 民兵は国を守るために適切である。ただし、米英戦争のような大きな戦争では不適切であることが分かった。イギリス軍に攻撃されたときに、民兵隊は出身州から出ることを拒んだ。
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