プーチン - 安倍時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 05:12 UTC 版)
「北方領土問題」の記事における「プーチン - 安倍時代」の解説
2013年4月:日本の安倍晋三首相が訪露し、両国は共同声明において、「戦後67年を経て日露間で平和条約が存在しないことは異常である」との認識を共有し,「双方の立場の隔たりを克服して,2003年の共同声明及び行動計画において解決すべきことが確認されたその問題(四島の帰属の問題)を最終的に解決することにより平和条約を締結する」との合意を表明した。また「平和条約問題の双方に受入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させるとの指示を両国外務省に与える」ことで一致した。 (2014年 クリミア危機・ロシアによるクリミアの併合) 2016年12月:ロシアのプーチン大統領が訪日し、山口県長門市で首脳会談を行った。両首脳は「北方四島において特別な制度の下で共同経済活動を行うための協議の開始」に合意するとともに、 「元島民らによる墓参り等のための手続きを改善する」ことで一致した。 2018年9月:プーチンはウラジオストクでの東方経済フォーラムで、安倍に「年末までに前提条件なしで平和条約を結ぼう」と提案し、領土問題の先送りを示唆した。 11月:両国はシンガポールで首脳会談を行い、「1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる」ことで合意した。安倍は日本が従来主張してきた「4島の返還」を求めることをやめ、「歯舞・色丹の2島の返還」へと要求を引き下げた。 2019年2月7日:日本は「北方領土の日」となる同日に毎年恒例の「北方領土返還要求全国大会」を東京都内で行ったが、登壇した内閣総理大臣の安倍晋三は、通例であった「北方四島の帰属の問題を解決する」などという表現を行わなかった。さらに外務大臣の河野太郎も前年に用いた「北方領土はわが国固有の領土だ」という表現を行わなかった。そして大会で採択されたアピールでも、通例であった「(北方領土がロシアに)不法に占拠され」という表現は行われなかった。 同2月7日:ロシアのマスメディアは上記発言について、国営のロシア通信が「東京で開かれた『北方領土』返還を求める大会で、(日本側が)『不法占拠』という表現を放棄した」「日本の大きな譲歩だ」などと報じた。また同じく国営のロシアテレビの東京特派員は「安倍総理大臣は厳しい表現を控えた。これまでは『不法占拠』や『四島返還』といったことばが必ず使われていたが、今回はなかった」と中継で伝えた。 2月8日:日本の参議院議員の小西洋之が、日本政府に対して「安倍内閣は『北方四島は日本固有の領土である』との表現による国会答弁をかたくなに拒否している。北方領土は日本の領土なのか」と質問を行った。政府は「ロシア政府との今後の交渉に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい」と答弁した。他の質問に対しては、政府は「交渉の対象は、北方四島の帰属の問題であるとの一貫した立場だ」と答弁した。 5月11日:北方領土へのビザなし交流に参加していた衆議院議員の丸山穂高(日本維新の会)が、国後島の宿舎『友好の家』での懇談会の最中、元島民で訪問団長の大塚小弥太へ対して「ロシアと戦争で(北方領土を)取り返すのは賛成か反対か」と質問した。大塚は「戦争なんて言葉を使いたくない」と述べたが、なおも丸山は「戦争をしないと取り返せない」などと発言した。このとき丸山は飲酒しており、訪問団員らの静止を聞かずに大声で騒いだほか、「これから外出して女を買いに行く」などとも発言していた。 翌12日:丸山は団員らから謝罪を求められ、口頭で詫びた。 13日:ロシア上院の国際問題委員長のコサチョフは「最低だ。そうした発言をするのは問題の解決を望まない人物だけだ」と批判した。 14日:日本維新の会は丸山を除名処分にした。日本の官房長官の菅義偉は「誰が見ても不適切だ」と批判し、外務大臣の河野太郎も「このような発言、行動は決してプラスにならない」と批判した。 6月22日:大阪で開催されるG20とそれに合わせ29日に行われる日露首脳会談に先駆けて、ロシアのプーチン大統領は国営放送のインタビューに「北方領土を日本に引き渡す計画はない」と答えた。 9月5日:ロシア・ウラジオストクで開催された『東方経済フォーラム』で、安倍が日本とロシアとの平和条約の締結を訴える演説を行った。その中で安倍は「ウラジーミル(プーチンのファーストネーム)。君と僕は、同じ未来を見ている。」「ゴールまで、ウラジーミル、二人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか。」などと発言し、物議を醸した。 一方でプーチンは否定的な見解を示し、「優しい言葉にピストルを添えれば、優しい言葉だけの場合よりもっと多くを得られる」などと発言した。 2020年2月7日:日本の東京で開催された『北方領土返還要求全国大会』で、北方四島について「不法に占拠されている」という表現が用いられなかった。前年に続いて2年連続での不採用となった。 7月4日:ロシア憲法の改正に伴い、同憲法に「ロシア領土の割譲を禁止」する内容が明記された。さらに同国の刑法も改正によって「領土割譲禁止に違反した者には最大10年の刑」「領土割譲を呼びかけた者にも最大4年の刑」が記載された。これにより北方領土交渉は事実上完全無効化した。これに先立ち、7月2日に国後島に『憲法改正記念碑』が建立された。プーチン大統領は、「このテーマ(南クリルが完全なロシア領であるという事)が特に重要なロシアのある地域の住民が、鉄筋コンクリートで記念碑を設置した。記念碑は『改正憲法は鉄筋コンクリートのように堅固であるべきだ』との提案に沿ったものだ」と述べた。 同じく7月2日には、ロシア外務次官のイーゴリ・モルグロフが「日本と島々に関する交渉はしていない」と述べた。 9月3日:ロシアは「第2次大戦終結の日」(事実上の対日戦勝記念日)を記念する対日戦勝75周年式典を、北方四島の国後島、択捉島、また色丹島の3島で実施した。
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