シズレクのサガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/23 15:25 UTC 版)
『シズレクのサガ』(古ノルド語: Þiðrekssaga)[注 1]は、歴史上の人物東ゴート王テオドリックをモデルとした英雄ディートリヒ・フォン・ベルン(古ノルド語読みではシズレク)の冒険を描いた「騎士のサガ」である。この「ベルン」はドイツの都市ではなく、北イタリアのヴェローナである[5][6]。このサガは13世紀半ばにノルウェーで書き留められ[5]、中世スカンディナヴィアで広く読まれた[6]。
注釈
出典
- ^ a b 岩井 2007, pp. 2, 13, etc..
- ^ 渡邊 2008, p. 82.
- ^ 石川 2004, p. 32,55,252,etc..
- ^ 岡﨑 2017, p. 996,1027,etc..
- ^ a b c d The article Didrik av Bern in Nationalencyklopedin (1990).
- ^ a b c d e f g h i j k l m n The article Didrikssagan in Nordisk familjebok (1907).
- ^ 「ヨハンネス・マグヌス」「ゴート人とスヴェア人の王国の事績に関する歴史」の表記は以下の文献より:小澤, 実「ゴート・ルネサンスとルーン学の成立 デンマークの事例」 『知のミクロコスモス 中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』中央公論新社、2014年、69-97頁 。 72頁。
- 1 シズレクのサガとは
- 2 シズレクのサガの概要
- 3 参考文献
- 4 外部リンク
シズレクのサガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 16:53 UTC 版)
『シズレクのサガ』(1250年頃)は古ノルド語で書かれているが、大半はドイツ語(特に低地ドイツ語)の口承や、おそらく『ニーベルンゲンの歌』などのドイツ語文献からの翻訳であるため、本項ではここに記述する。 『シズレクのサガ』では、ジークフリートはシグルズと書かれたり、ジークフリートに相当するシグフレーズと書かれたりする。彼はタルルンガラント(おそらくカルルンガラント、すなわちカロリング朝の転訛)の王シグムンドと王妃スペインのシシベの間の子である。ある日シグムンドが戦争から戻ってくると、妃が妊娠していることに気がつく。彼女の不貞を確信した彼は彼女を「シュヴァーベンの森」(シュヴァルツヴァルトのことか)に追放し、そこでシグルズは生まれる。しばらくしてシシベは死に、1匹の牝鹿から乳をもらって生き延びたシグルズは、鍛冶ミーミルによって発見される。ミーミルはこの少年を育てようとしたが、シグルズがあまりに粗暴なため弟のレギンのところに送った。レギンは竜に変化しており、あるいはこの少年を殺してくれるのではないかと考えたのである。しかし、シグルズはレギン竜を返り討ちにしてしまう。シグルズがその血を舐めると鳥の言葉がわかるようになり、そこからミーミルの裏切りを知る。彼は竜の血を自分の体に塗りつけて強靭な皮膚を手に入れ、ミーミルのところへ戻る。ミーミルは彼をなだめようと武器を与えるが、結局シグルズは彼を殺した。その後、シグルズはブリュンヒルドと出会い、名馬グラニを貰い受けて、ベルタンゲンランドのイスング王のところへと向かう。 ある日、ベルタンゲンランドを訪れたシズレク(ディートリヒ・フォン・ベルン)は、三日三晩シグルズと決闘をする。はじめシズレクはシグルズの硬い皮膚を破ることができなかったが、三日目にミムングと呼ばれる剣を手に入れ、ついにシグルズを打ち破る。その後、シズレクとシグルズはグンナル王のところへ馳せ参じ、シグルズは王妹グリームヒルドと結婚する。シグルズはグンナルにブリュンヒルドと結婚するように勧め、二人で彼女のもとに向かう。ブリュンヒルドは、シグルズと結婚の約束をしたと言い張る(それまでにそのような描写はない)が、最後にはグンナルとの結婚を承諾する。しかし、ブリュンヒルドはグンナルとの共寝を拒否したため、シグルズはグンナルの許可を得てグンナルに化け、ブリュンヒルドの処女を奪い、その怪力を失わせた。二人はブリュンヒルドを伴い宮廷へと戻る。 しばらくして、グリームヒルドとブリュンヒルドは自分たちの立場の上下について口論となる。ブリュンヒルドは、シグルズは高貴な生まれではないというと、グリームヒルドは、ブリュンヒルドの処女を奪ったのがグンナルでなくシグルズであると暴露する。ブリュンヒルドはグンナルとホグニを説得してシグルズを殺させようとし、ホグニは狩りの途中泉で水を飲むシグルズを殺す。二人はシグルズの死体をグリームヒルドの寝台に投げ置き、それをみたグリームヒルドは嘆き悲しむ。 『シズレクのサガ』の作者は、幾分なりとも一貫性のある物語を作るために、参考にした口承や文献から多くの変更を加えている。スカンディナヴィアの異説への言及もあり、スカンディナヴィアの聞き手が知っている物語に合うように細部を変更したようである。特に少年期のシグルズの物語は、北欧のものと、後の『角質化したザイフリートの歌』に見られる大陸ゲルマンの伝承だけでなく、他に典拠の見当たらない親についての話を組み合わせたものになっている。 『シズレクのサガ』には、シグルズがニーベルング族の秘宝を勝ち取ったという話は出てこない。
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シズレクのサガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 22:49 UTC 版)
『シズレクのサガ』(1250年頃)は古ノルド語で書かれているが、内容の多くはドイツ語(特に低地ドイツ語)の口承や、一部『ニーベルンゲンの歌』などのドイツ語文献から翻訳されたものであるため、ここに記述する。 グンナル(グンテル)は北ドイツのニヴルンガランドに住まうニヴルング族の王であり、ヴェルニッツァ(ヴォルムス)に本拠を置いていた。アルドリアン王とオーダ妃の息子であり、兄弟姉妹にグリームヒルド(クリームヒルト)、ゲルノーズ(ゲルノート)、ギスレル(ギーゼルヘル)が、また腹違いの兄弟にホグニ(ハゲネ)がいた。写本によっては、父親をイルング王とするものもある。 グンナルは、シズレク(ディートリヒ・フォン・ベルン)によって集められた12人の勇士による遠征に参加する。イスング王の息子と戦って負けたグンナルだったが、シズレクがシグルズ(ジークフリート)を破ったために解放される。シズレクとシグルズはグンナルに伴ってブルグント王宮へと赴き、シグルズはグンナルの妹グリームヒルドと結婚する。シグルズがグンナルにブリュンヒルドと結婚するよう勧めると、グンナルは了承する。かつてシグルズと結婚の約束をしたと主張するブリュンヒルドは、グンナルとの結婚に当初は乗り気ではなかったが、最終的には受け入れる。しかし、グンナルとの共寝は拒否し、その怪力でグンナルを圧倒する。グンナルはシグルドに、自分の変装をしてブリュンヒルドの処女を奪ってほしいと頼む。結果、ブリュンヒルドの力は失われ、彼女はグンナルの宮廷へと連れて行かれる。 しばらく後、宮廷での地位をめぐって、ブリュンヒルドとグリームヒルドの間に諍いが起こる。口論をするうちに、グリームヒルドは、ブリュンヒルドの処女を奪ったのがグンナルでなくシグルズであることを暴露する。これがグンナルの耳に入り、グンナルとホグニはシグルズを殺すことに決める。ホグニは狩りの場でシグルズを殺し、グンナルとともに死体をグリームヒルドの寝床まで運ぶ。その後、グリームヒルドはアトリ(アッティラ)と結婚し、スサト(ゾースト)にある新たな夫の宮廷へとグンナルを招待する。これは復讐を企図してのものだったが、一方アトリは、グンナルらがシグルズから奪った秘宝を得んとしていた。ホグニの諫言にもかかわらずグンナルは訪問を承諾する。『ニーベルンゲンの歌』と同様に、アトリの宮廷でのグンナルはホグニの後についていくだけの役割となっている。戦闘が始まると、グンナルは捕虜となり、グリームヒルドに指示されたアトリによって蛇で満たされた塔へと投げ込まれ、死ぬ。 このサガの作者は、多少なりとも一貫性のある物語を作るために、話材とした口承や文献に多くの変更を加えている。スカンディナヴィアに伝わるたくさんの異聞について言及があることから、スカンディナヴィアの読者が知っている物語と整合するように細部を変更したと思われる。このサガにおけるブルグントの滅亡の場面は、北欧と大陸の伝承から取り出した要素をうまく組み合わせた典型である。北欧のものに近い要素は、本来の低地ドイツの伝統を受け継いでいる可能性がある。例えば「蛇の塔(Schlangenturm)」は18世紀の終わりまでゾーストに存在していたことが判明している。
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シズレクのサガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 05:50 UTC 版)
『シズレクのサガ』は古ノルド語で書かれたものだが、内容の大部分はドイツ語(特に低地ドイツ語)の口頭伝承と(『ニーベルンゲンの歌』のような)文書から翻訳されたものである。したがって、こちらに記載する。ただし、このサガの著者は、気づいた点に関してはスカンディナヴィアの伝承に合わせて物語の枝葉を改変していると考えられている。 『シズレクのサガ』によれば、ブリュンヒルドはヘイミル王の娘でスヴァヴァのゼーガルト城に住んでいる。彼女はそこで牧場を営んでおり、駿馬を排出していた。シグルズはレギン竜を屠った後すぐブリュンヒルドと出会っている。シグルズは城に押し入り兵士を殺すが、ブリュンヒルドはシグルズを見て、シグルズの親の名前を伝え、去る間際にグラニという馬を与えた。 後に、ニーヴルングズと呼ばれるブルグントの宮廷に出仕していたシグルズは、グンナル(グンテル)にブリュンヒルドと結婚するよう助言し、2人で彼女に会いに行く。ブリュンヒルドは、シグルズが自分と結婚するという約束(以前出会った場面にこの点についての言及はない)を反故にしたことに怒るが、シグルズはグンナルと結婚するように説得しようとする。それでもなお初夜を拒むブリュンヒルドを、シグルズはグンテルに変装して代わりに処女を奪い、結果ブリュンヒルドの力は失われた。 しばらく後、シグルズはブルグントで暮らしていたが、ブリュンヒルドはシグルズの妻グリームヒルドと自分たちの地位の上下について口論を始める。ある日、ブリュンヒルドが広間に入った際、グリームヒルドは立ち上がり損ねる。これが癇に障り、ブリュンヒルドはグリームヒルドを由無きものと結婚したといって貶す。するとグリームヒルドは、ブリュンヒルドが初夜の後に(グンナルだと思っていた)シグルズに贈った指輪を出して見せ、ブリュンヒルドの処女を奪ったのはグンナルでなくシグルズであるということを公にする。ブリュンヒルドは、グンナルとホグニに言ってシグルズを殺させようとする。シグルズが死ぬと、ブリュンヒルドは大喜びする。この後、アトリ(エッツェル)がブルグントのブリュンヒルドのもとを訪れるというエピソード以外では、ブリュンヒルドはサガに登場しなくなる。
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シズレクのサガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/12 22:07 UTC 版)
『シズレクのサガ』では、ハイメとヴィテゲの冒険について語る前に、ヴィテゲを鍛冶屋・ヴェルンドの息子であるというエピソードを挿入している。 ヴィテゲはたったの12歳でありながらすでに武器の扱いに優れていたため、戦士になることを決意する。家を出るまえ、ヴェルンドはヴィテゲに自らが制作した名剣ミームングと名馬スケミングを与えている。 それから、ヴィテゲは高名な戦士であるシズレク(ディートリッヒ・フォン・ベルン)を探す旅に出るが、その途中でヒルデブラントとハイメに出会う。このとき、ヒルデブラントはヴィテゲのことをドワーフではないかという印象を持っている。 ヴィテゲとヒルデブラントは友人となり、義兄弟となることを誓う。しかし、ヒルデブラントはこのとき、ヴィテゲのもつ名剣ミームングと自分の持つ普通の剣を取り替えている。これは、ヴィテゲがシズレクと戦うことがあった場合、シズレクを有利にするためである。 このあと、ヒルデブラントの試みが失敗し、ヴィテゲはシズレクに決闘を挑んでしまう。ヴィテゲとシズレクは、まず馬に乗って槍で戦うが、お互いの槍が砕けるまで馬上で戦い、それから武器を剣に持ち替えて徒歩で戦った。 決闘中、ヴィテゲの持っていた偽のミームングは折れてしまうが、シズレクは非武装のヴィテゲにトドメをさそうした。そのため、ヒルデブラントはヴィテゲにミームングを返したため、ヴィテゲは優勢となった。シズレクが劣勢に追い込まれたことにより、シズレクの父親により決闘の中止が求められた。しかし、激怒していたヴィテゲはシズレクを殺したいと考えていたため、戦いを続行しようとする。そのため、決闘はヒルデブラントが介入することでようやく止められた。シズレクとの決闘以降、ヴィテゲはシズレクの仲間となる。 スウェーデン王とアッティラ率いるフン族との間で戦争が起こったさい、アッティラはシズレクとその武将たちを援軍に呼び寄せた。スウェーデン軍が撤退するとき、ヴィテゲは捕虜となっており、地下牢に投獄されており、イルサンらによって解放されている。 シグルズと戦ったさい、シズレクはヴィテゲからミームングを借り受けている。この戦いでシグルズは、相手がミームングを使っていることに気づくと降伏してしまっている。
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